旅行記:明治

デジコレブックカバーチャレンジ

Facebookで流行っていた「ブックカバーチャレンジ」(好きな本の書影を1日1冊7日間アップして友人にバトンをまわす…という遊び)をパクって、「デジコレブックカバーチャレンジ」というバトンを気分転換に始めてみた。「デジコレを通じて、明治~昭和前半く…

前田利定『支那遊記』

前田利定 『支那遊記』 東京, 民友社, 大正元(1912)年, 182p.<本文>子爵/貴族院議員・前田利定(1874-1944)は明治45年5月31日、神戸港から丹波丸(日本郵船の客船)に乗り込み、上海に向かった。 旅の理由は特に記されていないが、貴族院議員の視察旅…

二宮峯男『馬来半島事情』

二宮峯男『馬来半島事情』 東京, 内外出版協会, 明治31(1898)年, 157+48p.<本文>本書は、イギリス統治下のマレー半島=現在のマレーシアの地誌、イギリスの植民地政策、各州スルタン国、そして華僑(特にページを多く割いている)などについてまとめ、そ…

渡部教行『布哇国案内』

渡部教行『布哇国案内』 大阪, 今村謙吉, 明治27(1894)年, 36p.<本文>著者は愛媛県出身のハワイ移民。本書に自らの来歴について語るところがほとんどなく、また他の記録にもその名を見出せていない。 日本からハワイへの移民は1868年以来行われているが…

正岡芸陽『米国野球見物』

正岡芸陽『米国野球見物』 東京, 博文館, 明治43(1910)年, 214p.<本文>渋沢栄一を筆頭とする実業家集団の明治42年のアメリカ視察の模様を、やまと新聞特派員として随行した正岡芸陽猶一(1881-1920)がまとめた『米国見物』は以前紹介した]。その際に言…

阪本喜久吉『雲海紀行』

阪本喜久吉『雲海紀行』 東京, 東京堂, 明治29(1896)年, 143p.<本文>土佐出身の阪本喜久吉という人物については詳しい事は分からないが、手がかりになるのは、1896年11月3日の朝日新聞に掲載された本書の広告記事だ。 日本郵船会社欧洲航路開始の第一先…

『一九〇二年仏領東京河内府東洋農工技術博覧会報告書』

『一九〇二年仏領東京河内府東洋農工技術博覧会報告書』 東京, 日本貿易協会, 明治37(1904)年, 299p.<本文>ハノイ万国博覧会―仏領東京河内府万国博覧会は、1902年11月16日から1903年2月15日までの期間、フランス領ベトナムのハノイで開催された。本書は…

山岡光太郎『世界の神秘境アラビヤ縦断記』

山岡光太郎 『世界の神秘境アラビヤ縦断記』 東京, 東亜堂書房, 明治45(1912)年, 252p.<本文>山岡光太郎(1880-1959)は東京外大学んだロシア語を生かして日露戦争に通訳官として従軍した後は中国などに赴任していたが、明治42(1909)年に陸軍を辞し、…

松川二郎『樺太探検記』

松川二郎(木公) 『樺太探検記』 東京, 博文館, 明治42(1909)年, 175p.<本文>もっぱら旅に関する文章を寄稿して生計を立てるプロのライター/作家も最近は珍しくはないが、その魁とも言うべき1920〜1940年代に活躍した人間となるとどうだろうか。この時…

荻野万之助『外遊三年』

<本文>荻野万之助という人物のことは詳しく調べられていない。 分かった範囲で書くと、慶応義塾卒業後に憲法・行政法等の勉強のためにアメリカ・ドイツに留学していたこと、留学中も『慶應義塾学報』に欧米の政治や外交について何本かの論説を投稿していた…

釈宗演『錫崘島志』

釈宗演 『錫崘島志』東京, 弘教書院, 明治23(1890)年, 93p.<本文>以前紹介した『欧米雲水記』に先立つこと18年前の1889年冬、若き宗演は留学先のセイロン(スリランカ)から帰国した。慶應義塾の恩師・福沢諭吉から「仏教の源流」を学ぶべく勧められた(…

関露香『本派本願寺法主大谷光瑞伯印度探検』

関露香『本派本願寺法主大谷光瑞伯印度探検』 東京, 博文館, 大正2(1913)年, 326p.<本文>大谷探検隊を組織し、時には自らも中央アジアを踏破した大谷光瑞のインド旅行・仏蹟調査の一部始終がまとめられた本…と思って読んでみたら、どうも違う。結論を言…

日野強 『伊黎紀行』

日野強 『伊黎紀行』 東京, 博文館, 明治42(1909)年.<日誌之部:本文> <地誌之部:本文>*1伊予生まれの陸軍軍人・日野強(1865-1920)が清国・新疆視察の命を受けたのは、日露戦争終了翌年の1906年夏のこと。 日露戦争で辛くも勝利したとは言え、新疆…

伊達虎一『欧羅巴視察日記』

伊達虎一『欧羅巴視察日記』京都, 伊達虎一, 明治34(1901)年, 124p.<本文>伊達虎一という人は、(詳しいことはよく分からないが)京都で西陣織の商いを生業としていたらしい。明治33(1900)年の第5回パリ万博に際しては、京都西陣織物同業組合の推薦(…

小西増太郎 『聖地パレスチナ』

小西増太郎 『聖地パレスチナ』 東京, 警醒社書店, 大正2(1913)年, 326p.<本文> 小西増太郎(1861-1940)は岡山県生まれのロシア文学者で、二度のロシア滞在経験を持つ。一度目の滞在ではモスクワ大学で心理学を修める傍ら、トルストイとともに『老子』…

【番外編】板坂耀子『江戸の紀行文』

江戸の紀行文―泰平の世の旅人たち (中公新書)作者: 板坂耀子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2011/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 18回この商品を含むブログ (12件) を見る江戸時代の紀行文と言うと、僕は真っ先に松尾芭蕉の『おくのほそ道』…

【番外編】若林純『謎の探検家 菅野力夫』

今回は【番外編】ということで、最近読んだ本を紹介したい。謎の探検家菅野力夫作者: 若林純出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2010/05/01メディア: 単行本 クリック: 15回この商品を含むブログ (4件) を見る恥ずかしながら、本書を手に取るまで菅野力夫(1887…

農商務省農務局 『白耳義國畜産業調査』

農商務省農務局 『白耳義國畜産業調査(附・第二回万国家畜飼養会議顛)』 農商務省農務局, 明治39(1906)年, 44p.本文本書は、ベルギーの畜産業調査と、明治38年7月30日からリエージュで開催された第二回万国家畜飼養会議出席のために農商務省からベルギー…

青木敏郎『ベ−リング海オホ−ツク海沿岸旅行記』

青木敏郎 『ベ−リング海オホ−ツク海沿岸旅行記』 東京, 金港堂, 明治38(1906)年, 179p.<本文>日露戦争直後に出されたこの本は、青木敏郎という人物の千島旅行の顛末である。 明治36年5月、青木はかねてからの宿願だった北方での調査に乗り出すべく、友人…

高野巽『馬賊横行記』

高野巽(弦月) 『馬賊横行記』 大阪, 堀田航盛館, 明治39(1906)年, 175p.<本文>馬賊とは、単なる騎馬の匪賊などではなく、むしろ当時の中国東北部(満洲)独特の社会状況が生みだした、パトロンをバックに擁した一種の「自衛武装集団」と言われている。…

軍事警察雑誌社『憲兵渡鮮案内』

軍事警察雑誌社編 『憲兵渡鮮案内』 東京, 軍事警察雑誌社, 明治44(1911)年, 55p. <本文>本書には、憲兵として赴任する者のために、荷物・軍馬の輸送や家族の携行、朝鮮半島での移動方法などから関税などの細々とした事柄などが記載されている。 日本統…

北六一郎『満衣韓冠』

北六一郎 『満衣韓冠』 北蟹谷村, 北六一郎, 明治39(1906)年, 57p.<本文>日露戦争後、農商務省から嘱託を受けた各府県は、数十名単位で利源調査員を満州・朝鮮半島へと派遣したのだが、富山県は明治39年6月24日から8月10日にかけて60名の調査員を送りこ…

浅井誉至夫『暹羅国形勢一班』

浅井誉至夫 『暹羅国形勢一班』 和歌山, 浅井誉至夫, 明治28(1895)年, 3丁.<本文>著者である浅井(後に小笠原に改姓)誉至夫については、詳しいことは分からないが、和歌山在住の所謂「在野の知識人」にとも言うべき人物だろうか。何事につけても一家言…

海野力太郎『心酔記』

海野力太郎 『心酔記』 東京, 海野力太郎, 明治26(1893)年, 24p.<本文>1861年生まれの海野力太郎は『実用簿記法』(春陽堂, 明治32年)を記して日本に簿記法を紹介した人物として知られている。 その海野は最新の簿記の知識をどうやらアメリカ留学時に仕…

外務省通商局『暹羅国出張取調報告書』

外務省通商局 『暹羅国出張取調報告書』 東京, 外務省, 明治27(1894)年, 80p.<本文>本書は、外務省が行ったタイに対する移民調査結果の報告書で、報告者は当時シンガポール二等領事だった齋藤幹。タイ国の気候・風俗・産業などの概況だけでなく、土地所…

岡雷平『南洋群島珊瑚島探検記』

岡雷平 『南洋群島珊瑚島探検記』 東京, 博文館, 明治43(1910)年, 304p.<本文>岡雷平は『やまと新聞』の記者で、1909(明治42)年から翌年にかけて農商務省水産講習所(東京水産大学の前身)の練習船「雲鷹丸」に便乗して北太平洋を航海し、サイパン・グ…

鈴木経勲『平壌大激戦実見録』

鈴木経勲 『平壌大激戦実見録』 東京, 博文社, 明治27(1894)年, 32p.<本文>鈴木経勲(1853-1938)は土佐藩出身で、『南洋探検実記』(博文館, 明治25年)などの著作をものした南洋探検家として知られる人物だが、従軍記者として初めてカメラを携えて日清…

小泉精三『東へ東へ』

小泉精三 『東へ東へ』 東京, 東京堂, 明治41(1908)年, 246p.<本文>小泉は滋賀県生まれの貿易商。彼のアメリカ留学とその際の世界一周旅行の見聞をまとめたのが本書である。 まずは明治35年5月に横浜から出航し、大西洋を横断してバンクーバー・シアトル…

藤岡了空『朝鮮土産』

藤岡了空 『朝鮮土産』 京都, 法蔵館, 明治27(1894)年, 22p.<本文>浄土真宗の僧侶である藤岡了空は、日清戦争の始まった明治27年、依頼を受けて渡韓国し、ソウルの王城の警備に当たっている日本軍の兵士たちの慰問を行った…のだが、藤岡の狙いはそれだけ…

鏑木余三男『朝鮮国元山出張復命書』

鏑木余三男 『朝鮮国元山出張復命書』 東京, 外務省通商局, 明治28(1895)年, 42p.<本文>本書は、非職(嘱託のようなものか)の農商務技手・鏑木余三男(加賀生まれ)が元山水産株式会社の依頼を受けて元山近海の水産資源・漁業調査に赴いた際の復命書で…