2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

#119

2011.1 Jerusalem, Israel. 私たちのような金を持たない旅人にとって、親切がわずらわしくなるというのは、かなり危険な兆候だった。なぜなら、私たちは行く先々で人の親切を「食って」生きているといってもよいくらいだったからだ。 沢木耕太郎『深夜特急』…

acco『ひとつだけ』

帰省した際に、以前紹介した奈良のRecord Shop Djangoで、accoこと榊原明子さんの新作『ひとつだけ』を買った。彼女は、奈良を拠点に活動するピアニスト・作曲家であり、僕の中学・高校時代の同級生でもある。 震災15周年メインテーマ 君はどこへ駆けてく 天…

#118

2011.1 Jerusalem, Israel. 長く旅を続けているうちにすべてのことが曖昧になってきてしまうのだ。黒か白か、善か悪かがわからなくなってくる。何かはっきりしたことを言える自信がなくなってくる。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈4〉シルクロード (新潮…

#117

2011.1 Jerusalem, Israel. 明日はきっと晴れるだろう。そう思った瞬間、もしかしたら明日ならここを出ていけるのではないか、という気がしてきた。雨の中を出ていくのは憂鬱だが、天気になれば気分よく出発できるのではないか。あるいは、この機会を逃して…

【番外編】板坂耀子『江戸の紀行文』

江戸の紀行文―泰平の世の旅人たち (中公新書)作者: 板坂耀子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2011/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 18回この商品を含むブログ (12件) を見る江戸時代の紀行文と言うと、僕は真っ先に松尾芭蕉の『おくのほそ道』…

#116

2011.1 Jerusalem, Israel. とりわけ旅行者にとって冷たい雨というのがどれほど辛いものかを思い知らされました。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈3〉インド・ネパール (新潮文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1994/04/28メディア: 文…

地域と観光に関する情報サービス研究会第三回研究会

少し間が空きましたが、第三回のご報告です。今回は、メンバーの一人である若林正博さんの発表が中心でした(ご本人が転載自由と仰っていたので、未定稿の目次を載せておきます)。このエントリーでは、若林さんの発表に関連して、幾つか気になったことをつ…

曽布川寛・吉田豊『ソグド人の美術と言語』

ソグド人の美術と言語作者: 曽布川寛,吉田豊出版社/メーカー: 臨川書店発売日: 2011/03/01メディア: 単行本 クリック: 17回この商品を含むブログ (4件) を見る 第1章 ソグド人とソグドの歴史 (吉田豊) 第2章 ソグド人の壁画 (影山悦子) 第3章 ソグド人の…

#115

2011.1 Jerusalem, Israel. ただひたすら見る。必要なことはそれだけなのかもしれない、と思えてきたのだ。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈3〉インド・ネパール (新潮文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1994/04/28メディア: 文庫購入…

#114

2011.1 Jerusalem, Israel. すべてはもう手遅れだ。人生と同じように、旅もまた二度と同じことをやり直すわけにはいかないのだから・・・。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈2〉マレー半島・シンガポール (新潮文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 新潮…

#113

2011.1 Jerusalem, Israel. あるいは、彼らも人生における執行猶予の時間が欲しくて旅に出たのかもしれない。だが、旅に出たからといって何かが見つかると決まったものでもない。まして、帰ってからのことなど予測できるはずもない。 沢木耕太郎『深夜特急』…

#112

2011.1 Jerusalem, Israel. 自分はなんだってこのような旅に出てきてしまったのだろうという、当然わかっているつもりのことが曖昧になってきた。あるいは、曖昧になったのではなく、日本を出る、とにかく出る、ということに夢中になっていて今まで一度もき…

#111

2011.1 Jerusalem, Israel. 急ぐ必要はないのだ。行きたいところに行き、見たいものを見る。それで日本に帰るのが遅くなろうとも、心を残してまで急ぐよりはどれだけいいかわからない。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈2〉マレー半島・シンガポール (新潮…

#110

2011.1 Jerusalem, Israel. さまざまな場所へ行き、うろつき廻った。見たり、食べたりもした。しかし、それはそれだけのことで、街の印象がひとつにまとまっていく役には立たない。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈2〉マレー半島・シンガポール (新潮文庫…

「東日本大震災」に寄せて

今更ですが、何人かの方から安否確認のメールをいただいたので、「僕と僕の家族は無事です(I and my family are OK)」とまずはご報告しておきます。地震発生時はオフィスにいました。その後、自宅まで二時間半かけて帰宅しました。12日は職場に赴き、最低…

#109

2011.2 Jerusalem, Israel. 仕事でもなく、勉学でもなく、ただほっつき歩くためだけに異国に来ている若僧が、俺には金がないなどという台詞を吐いたら、それはずいぶんいい気なものではないか、と思われても仕方のないことだった。 沢木耕太郎『深夜特急』 …

#108

2011.1 Jerusalem, Israel. 乗るか乗らないかは、単なる選択の問題にすぎなくなった。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1994/03/30メディア: 文庫購入: 13人 クリック: 199回こ…

#107

2011.1 Jerusalem, Israel. 日がたつにつれて、しだいに身が軽くなっていくように感じられる。言葉をひとつ覚えるだけで、乗物にひとつ乗れるようになるだけで、これほど自由になれるとは思ってもいなかった。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈1〉香港・マ…

ゲントの朝歩き

朝、起きるとまだ暗い。旅先では、なぜか朝が早い。フィットネスジムなんかがあれば走りに行きたいところだが、このホテルにはない。特にやることもないので、ベッドに座って本を読む。 しばらくすると、窓の外も明るくなってくる。シャワーをサッと浴びてか…

#106

2011.1 Jerusalem, Israel. 私は歩き、眺め、話し、笑い、食べ、呑んだ。どこへ行っても、誰かがいて、何かがあった。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1994/03/30メディア: 文…

#105

2011.2 Jerusalem, Israel. <さてこれからどうしよう…>そう思った瞬間、ふっと体が軽くなったような気がした。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1994/03/30メディア: 文庫購…

#104

2011.2 Jerusalem, Israel. トーマス・クック社の『時刻表』を参考にして、一度はコースの大まかなスケッチをしかけたこともあったが、途中で馬鹿ばかしくなってやめてしまった。その通りに動くくらいなら、このような旅をする必要がないではないか、と思え…

#103

2011.2 Jerusalem, Israel. 人のためにもならず、学問の進歩に役だつわけでもなく、真実をきわめることもなく、血沸き肉踊る冒険大活劇でもなく、まるで何の意味もなく、誰にでも可能で、しかし、およそ酔狂な奴でなくてはしそうもないことを、やりたかった…

#102

2011.2 Jerusalem, Israel. 早く、できるだけ早く、ここから出て行かなければならない。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1994/03/30メディア: 文庫購入: 13人 クリック: 199回…