2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

閲覧室のエベレスト

勤務先の図書館のとある閲覧室に、8年間、自分の撮った写真を飾っていた。「いた」と書いたのは、つい最近、その写真が知らないうちに取り外されていたことに気付いたからだ。 8年前、その閲覧室の担当の一人だった僕は、先輩たちに勧められるままに、撮りた…

#128

2008.5 Bukhara, Uzbekistan. それにしても、旅人の相手をしてくれるのは老人と子供だけだな、とベンチに坐ったまま私は思った。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈6〉南ヨーロッパ・ロンドン (新潮文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 19…

#127

2010.8 Amsterdam, Netherland. 危ない、危ない、という声がどこからか聞こえてきた。このままでは永遠に汐どきを失ってしまうぞ、と。永遠に旅を終えられなくなってしまうぞ、と。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈6〉南ヨーロッパ・ロンドン (新潮文庫)…

#126

2011.1 Jerusalem, Israel 変わったのは、土地でもなく、私でもなく、旅そのものなのかもしれなかった。いや、確かに土地も、私も、変化しただろう。だが、それ以上に、旅が変化していたのだ。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈5〉トルコ・ギリシャ・地中…

#125

2009.12 Daramshala, India. 私は自分をこう慰めていた。心を残しておけばいつかまたここに来られるかもしれないのだから、と。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈5〉トルコ・ギリシャ・地中海 (新潮文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1…

#124

2010.8 Ghent, Belgium. 旅の終わりが不意に現実的なものになってきた。そのことにまったく用意のできていなかった私はうろたえてしまった。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈5〉トルコ・ギリシャ・地中海 (新潮文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 新…

#123

2010.9 Amsterdam, Netherland. しかし、いま、私もまた、旅は人生に似ているという気がしはじめている。たぶん、本当は旅は人生に似ているのだ。どちらも何かを失うことなしに前に進むことはできない… 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈5〉トルコ・ギリシ…

#122

2011.2 Jerusalem, Israel. ふたたび眼を開け、車内灯に照らされてぼんやり映る自分の顔を見ているうちに、胸の奥に小さな痛みが走った。だが、私はそれについては考えないことにして、その向こうの闇を見つづけた。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈5〉ト…

同時多発的お花見ストリーム/マレビトサービス#1:石田ゆうすけ編

先日告知した、石けんブラザーズ主催の「同時多発的お花見ストリーム@井の頭公園」を開催しました(のべ10人もの方の参加がありました)。「語る」ということがより重要な意味を帯びる時代に、こういうリアルな「場」を持てたことは、非常に良かったと思い…

#121

2011.1 Jerusalem, Israel. 旅という名のトンネルの向こうにあるものと、果たしてうまく折り合うことができるかどうか、自信がなかった。旅の日々の、ペルシャの秋の空のように透明で空虚な生活に比べれば、その向こうにあるものがはるかに真っ当なものであ…

【告知】同時多発的お花見ストリーム

トークイベント「『知』が拡散する時代のアーカイブ・キュレーション」に続く、石けんブラザーズ主催イベント第二弾の告知です。要は、お花見なので、お気軽にご参加ください。 「同時多発的お花見ストリーム」 日時・場所 4月7日(木) 15時〜日暮れ 於井の…

勉強会@中央線NEO 2011_2

2011/4/5 藤澤聡子(アサヒビール株式会社)「私、流しのライブラリアン〜本とウイスキーをつまみに語る、司書って何だっけ、の話」 勉強会@中央線2010(2010/11/10) 勉強会@中央線2008-2009(2009/12/10) 内と外(2009/11/13)

#120

2011.1 Jerusalem, Israel. どうせ置き去りにするくらいなら、初めから何もしてやらなければいいのだ。そう思った瞬間、私は自分がいつもあのようにして人から離れてきてしまったような気がして、さらに暗い気持ちになった。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特…