ON THE ROAD

#145

2016.3 Minakami, Japan. 汽車が駅から動き出した時位、それまでのことを一切後にして来たという気分がすることはない。 吉田健一「忙中の閑」 汽車旅の酒 (中公文庫)作者: 吉田健一出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2015/02/21メディア: 文庫この商品…

#144

2016.10 Tsuchiura, Japan. 旅も、本も、何れもそれだけで幾らでも未来の夢が描けるものである。併しそれだから、止めて置く。凡ては老後の楽みに取って置こうと思うのである。 吉田健一「老後」 汽車旅の酒 (中公文庫)作者: 吉田健一出版社/メーカー: 中央…

#143

2015.10 Nara, Japan. 碌に旅行をしたことがないものだから、旅情などということを持ち出して、自分が生れる前の昔を恋しがったりすることになる。 吉田健一「超特急」 汽車旅の酒 (中公文庫)作者: 吉田健一出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2015/02/21…

#142

2015.10 Nara, Japan. もの珍しかったり、目先が変わったりするのと反対で、旅をしている時、或る場所がいつ来て見ても同じであること位、嬉しいものはない。 吉田健一「人間らしい生活」 汽車旅の酒 (中公文庫)作者: 吉田健一出版社/メーカー: 中央公論新社…

#141

2015.10 Yamato-Saidaiji, Japan. どうあっても間違いないことは、我々が汽車その他から降りた場所は、我々が住んでいる所ではないということである。 吉田健一「帰郷」 汽車旅の酒 (中公文庫)作者: 吉田健一出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2015/02/2…

#140

2016.10 Tsuchiura, Japan. 旅行をする時には、普通はどうでもいいようなことが大事であるらしい。 吉田健一「道草」 汽車旅の酒 (中公文庫)作者: 吉田健一出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2015/02/21メディア: 文庫この商品を含むブログ (13件) を見る

#139

2016.3 Minakami, Japan. 旅行をするときは、気が付いて見たら汽車に乗っていたという風にありたいものである。 吉田健一「金沢」 汽車旅の酒 (中公文庫)作者: 吉田健一出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2015/02/21メディア: 文庫この商品を含むブログ …

#138

2015.3 Arai, Tokyo. 旅師の蔭にはきっと涙がある。 赤坂憲雄「喜田貞吉 他者の旅を追体験する」 旅学的な文体 (五柳叢書 94)作者: 赤坂憲雄出版社/メーカー: 五柳書院発売日: 2010/03メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る

#137

2013.3 Nagata-cho, Tokyo. 旅のあとに書かれる機構は、旅のすべてではない。採集ノートという紀行以前の紀行のなかにはきっと、もうひとつの旅が埋もれている。 赤坂憲雄「折口信夫 紀行はみな旅のあとに」 旅学的な文体 (五柳叢書 94)作者: 赤坂憲雄出版社…

#136

2014.8 Komagome, Tokyo. 旅に出るきっかけは、たぶんケ(気)が枯れることだ。日常という名のケガレの堆積が、ある臨界点に達したとき、牧水はいやおうもなく旅に出る。 旅はときには寂しく、苦しく、厭わしい。なんの因果でこんな所まで来たのか、とわれな…

#135

2015.1 Yamato-Saidaiji, Nara. 目的のない散歩にも、いくらかの目的らしいことはあった。さびれはてた光景が、しばし立ち去りがたい心持ちにさせる、無用な感慨に打たれる、それ がなにより嬉しい、という。 赤坂憲雄「永井荷風 地図は旅の方法である」 旅…

#134

2013.5 Suwa, Nagano. 近代の旅は、いかに発見されたのか。この問いには深くそそられるものがある。放浪者の系譜とは異なった、もう一つの旅師の一群に眼を凝らさねばな らない。 赤坂憲雄「柳田邦男 民俗学は旅に繋がれて」 旅学的な文体 (五柳叢書 94)作者…

#133

2014.2 Gojo, Kyoto. 放浪への促しは、いかにも唐突にやって来る。 赤坂憲雄「山下清 サバイバル戦略として」 旅学的な文体 (五柳叢書 94)作者: 赤坂憲雄出版社/メーカー: 五柳書院発売日: 2010/03メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る

#132

2014.4 Arai-Yakushi, Tokyo. 旅のあとには、日常という名の、厳粛な戦場が待ち受けている。 赤坂憲雄「高群逸枝 まどろみに底、巡礼へ」 旅学的な文体 (五柳叢書 94)作者: 赤坂憲雄出版社/メーカー: 五柳書院発売日: 2010/03メディア: 単行本この商品を含む…

#131

2014.4 Arai-Yakushi, Tokyo. 人はしぐれて旅に棲み、乞食となる。かれらの眼には、世間が、世間の人が透けて見える。 赤坂憲雄「種田山頭火 人はしぐれて旅に棲む」 旅学的な文体 (五柳叢書 94)作者: 赤坂憲雄出版社/メーカー: 五柳書院発売日: 2010/03メデ…

#130

2015.1 Yamato-Saidaiji, Nara. 旅に棲む、という。それがときに乞食と同義であったことを忘れてはならない。 赤坂憲雄「高橋竹山 旅に棲み、世間を歩く」 旅学的な文体 (五柳叢書 94)作者: 赤坂憲雄出版社/メーカー: 五柳書院発売日: 2010/03メディア: 単行…

#129

2011.1 Jerusalem, Israel. 旅とは他者たちの日常を、つかの間切り裂き、行き過ぎる体験であるが、それはついに、回帰することがない、もうひとつの世界、それゆえ異郷や異界への逃避行としての蒸発において、その極北の理想形を見いだすにちがいない。 赤坂…

#128

2008.5 Bukhara, Uzbekistan. それにしても、旅人の相手をしてくれるのは老人と子供だけだな、とベンチに坐ったまま私は思った。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈6〉南ヨーロッパ・ロンドン (新潮文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 19…

#127

2010.8 Amsterdam, Netherland. 危ない、危ない、という声がどこからか聞こえてきた。このままでは永遠に汐どきを失ってしまうぞ、と。永遠に旅を終えられなくなってしまうぞ、と。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈6〉南ヨーロッパ・ロンドン (新潮文庫)…

#126

2011.1 Jerusalem, Israel 変わったのは、土地でもなく、私でもなく、旅そのものなのかもしれなかった。いや、確かに土地も、私も、変化しただろう。だが、それ以上に、旅が変化していたのだ。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈5〉トルコ・ギリシャ・地中…

#125

2009.12 Daramshala, India. 私は自分をこう慰めていた。心を残しておけばいつかまたここに来られるかもしれないのだから、と。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈5〉トルコ・ギリシャ・地中海 (新潮文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1…

#124

2010.8 Ghent, Belgium. 旅の終わりが不意に現実的なものになってきた。そのことにまったく用意のできていなかった私はうろたえてしまった。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈5〉トルコ・ギリシャ・地中海 (新潮文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 新…

#123

2010.9 Amsterdam, Netherland. しかし、いま、私もまた、旅は人生に似ているという気がしはじめている。たぶん、本当は旅は人生に似ているのだ。どちらも何かを失うことなしに前に進むことはできない… 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈5〉トルコ・ギリシ…

#122

2011.2 Jerusalem, Israel. ふたたび眼を開け、車内灯に照らされてぼんやり映る自分の顔を見ているうちに、胸の奥に小さな痛みが走った。だが、私はそれについては考えないことにして、その向こうの闇を見つづけた。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈5〉ト…

#121

2011.1 Jerusalem, Israel. 旅という名のトンネルの向こうにあるものと、果たしてうまく折り合うことができるかどうか、自信がなかった。旅の日々の、ペルシャの秋の空のように透明で空虚な生活に比べれば、その向こうにあるものがはるかに真っ当なものであ…

#120

2011.1 Jerusalem, Israel. どうせ置き去りにするくらいなら、初めから何もしてやらなければいいのだ。そう思った瞬間、私は自分がいつもあのようにして人から離れてきてしまったような気がして、さらに暗い気持ちになった。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特…

#119

2011.1 Jerusalem, Israel. 私たちのような金を持たない旅人にとって、親切がわずらわしくなるというのは、かなり危険な兆候だった。なぜなら、私たちは行く先々で人の親切を「食って」生きているといってもよいくらいだったからだ。 沢木耕太郎『深夜特急』…

#118

2011.1 Jerusalem, Israel. 長く旅を続けているうちにすべてのことが曖昧になってきてしまうのだ。黒か白か、善か悪かがわからなくなってくる。何かはっきりしたことを言える自信がなくなってくる。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈4〉シルクロード (新潮…

#117

2011.1 Jerusalem, Israel. 明日はきっと晴れるだろう。そう思った瞬間、もしかしたら明日ならここを出ていけるのではないか、という気がしてきた。雨の中を出ていくのは憂鬱だが、天気になれば気分よく出発できるのではないか。あるいは、この機会を逃して…

#116

2011.1 Jerusalem, Israel. とりわけ旅行者にとって冷たい雨というのがどれほど辛いものかを思い知らされました。 沢木耕太郎『深夜特急』 深夜特急〈3〉インド・ネパール (新潮文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1994/04/28メディア: 文…