2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

#88

2007.10 KanDing, Tibet. そうした旅人は、ときに亡命者と呼ばれ、ときに難民と呼ばれ、ときにディアスポラ(離散)の民とよばれるだろう。だがそれらは、現実における亡命や難民の経験を直接意味しているのでもない。旅の可能性はすべての現代人に向かって…

#87

2007.10 Lithang, Tibet. 交差点から旅は生まれる。 今福龍太『クレオール主義』 大きな地図で見る クレオール主義 (ちくま学芸文庫)作者: 今福龍太出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2003/05メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 26回この商品を含むブログ (5…

北六一郎『満衣韓冠』

北六一郎 『満衣韓冠』 北蟹谷村, 北六一郎, 明治39(1906)年, 57p.<本文>日露戦争後、農商務省から嘱託を受けた各府県は、数十名単位で利源調査員を満州・朝鮮半島へと派遣したのだが、富山県は明治39年6月24日から8月10日にかけて60名の調査員を送りこ…

浅井誉至夫『暹羅国形勢一班』

浅井誉至夫 『暹羅国形勢一班』 和歌山, 浅井誉至夫, 明治28(1895)年, 3丁.<本文>著者である浅井(後に小笠原に改姓)誉至夫については、詳しいことは分からないが、和歌山在住の所謂「在野の知識人」にとも言うべき人物だろうか。何事につけても一家言…

#86

2007.6 Ubud, Bali. 自己のなかを越境すること。自らの土地へのイミグレーションをこころみること。そうした行為の果てに、わたしたちは固定的で同質的な「場所」や「文化」のロジックから自由になったヘテロなものが共棲する一つの新しい認識の風景を手に入…

#85

2008.5 Bukhara, Uzubekistan. 現代において、もはや「旅」はけっして「差異」の知見を生みだすことはない。いまや、「旅」は「差異」の知見を前提としてしか行われえない。 今福龍太『クレオール主義』 大きな地図で見る クレオール主義 (ちくま学芸文庫)作…

#84

2009.1 Osaka, Japan. 観光客の行動が示しているように、彼らはジャングルの奥地でなにか得体の知れない未知のものに出逢うことを期待してやってきたのではけっしてない。その土地の地勢も、風土も、人間たちのくらしも、あらゆるメディアの情報とともに、す…

#83

2009.1 Harajuku, Japan. 旅することは、だから場所を越えて一つの認識へたどりつくことだった。そしてその認識の根幹には、場所の「差異」に身をさらすという行為そのものによって自己を他者から差異化するという力の作用が潜んでいた。 今福龍太『クレオー…

#82

2009.1 Kumamoto, Japan. 「土地」という名で呼ばれる「場所」はたしかにそこにある。土地は人間によっては具体的に経験されるためにわたしたちを待っている。 今福龍太『クレオール主義』 大きな地図で見る クレオール主義 (ちくま学芸文庫)作者: 今福龍太…

海野力太郎『心酔記』

海野力太郎 『心酔記』 東京, 海野力太郎, 明治26(1893)年, 24p.<本文>1861年生まれの海野力太郎は『実用簿記法』(春陽堂, 明治32年)を記して日本に簿記法を紹介した人物として知られている。 その海野は最新の簿記の知識をどうやらアメリカ留学時に仕…

外務省通商局『暹羅国出張取調報告書』

外務省通商局 『暹羅国出張取調報告書』 東京, 外務省, 明治27(1894)年, 80p.<本文>本書は、外務省が行ったタイに対する移民調査結果の報告書で、報告者は当時シンガポール二等領事だった齋藤幹。タイ国の気候・風俗・産業などの概況だけでなく、土地所…

岡雷平『南洋群島珊瑚島探検記』

岡雷平 『南洋群島珊瑚島探検記』 東京, 博文館, 明治43(1910)年, 304p.<本文>岡雷平は『やまと新聞』の記者で、1909(明治42)年から翌年にかけて農商務省水産講習所(東京水産大学の前身)の練習船「雲鷹丸」に便乗して北太平洋を航海し、サイパン・グ…

鈴木経勲『平壌大激戦実見録』

鈴木経勲 『平壌大激戦実見録』 東京, 博文社, 明治27(1894)年, 32p.<本文>鈴木経勲(1853-1938)は土佐藩出身で、『南洋探検実記』(博文館, 明治25年)などの著作をものした南洋探検家として知られる人物だが、従軍記者として初めてカメラを携えて日清…

小泉精三『東へ東へ』

小泉精三 『東へ東へ』 東京, 東京堂, 明治41(1908)年, 246p.<本文>小泉は滋賀県生まれの貿易商。彼のアメリカ留学とその際の世界一周旅行の見聞をまとめたのが本書である。 まずは明治35年5月に横浜から出航し、大西洋を横断してバンクーバー・シアトル…

「ヘルシンキ野暮用」持っていった本

高僧伝〈1〉 (岩波文庫)作者: 慧皎,吉川忠夫,船山徹出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2009/08/18メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 14回この商品を含むブログ (7件) を見る「大日本帝国」崩壊―東アジアの1945年 (中公新書)作者: 加藤聖文出版社/メーカー: …

藤岡了空『朝鮮土産』

藤岡了空 『朝鮮土産』 京都, 法蔵館, 明治27(1894)年, 22p.<本文>浄土真宗の僧侶である藤岡了空は、日清戦争の始まった明治27年、依頼を受けて渡韓国し、ソウルの王城の警備に当たっている日本軍の兵士たちの慰問を行った…のだが、藤岡の狙いはそれだけ…

鏑木余三男『朝鮮国元山出張復命書』

鏑木余三男 『朝鮮国元山出張復命書』 東京, 外務省通商局, 明治28(1895)年, 42p.<本文>本書は、非職(嘱託のようなものか)の農商務技手・鏑木余三男(加賀生まれ)が元山水産株式会社の依頼を受けて元山近海の水産資源・漁業調査に赴いた際の復命書で…

並木武夫『支那革命写真帖 第1編』

並木武夫 『支那革命写真帖 第1編』 東京, 東洋出版協会, 明治45(1912)年, 29p.<本文>清朝が倒れ中華民国が建立された辛亥革命は、1911年から翌年にかけて起きた一連の事件の総称である。この写真集には、武昌起義(一連の事件の発端となる兵士の反乱)…

石川京吉『台湾写真画帖』

石川京吉 『台湾写真画帖』 青森, 石川京吉, 明治36(1903)年, 18p.<本文>カメラマン・石川京吉について、詳しいことは分からない。 明治36年、植民地統治下の台湾に赴き、台湾統治にあたる日本人軍人の肖像、その実務を担う兵士たちの姿をこの写真集に収…