旅行記:明治

並木武夫『支那革命写真帖 第1編』

並木武夫 『支那革命写真帖 第1編』 東京, 東洋出版協会, 明治45(1912)年, 29p.<本文>清朝が倒れ中華民国が建立された辛亥革命は、1911年から翌年にかけて起きた一連の事件の総称である。この写真集には、武昌起義(一連の事件の発端となる兵士の反乱)…

石川京吉『台湾写真画帖』

石川京吉 『台湾写真画帖』 青森, 石川京吉, 明治36(1903)年, 18p.<本文>カメラマン・石川京吉について、詳しいことは分からない。 明治36年、植民地統治下の台湾に赴き、台湾統治にあたる日本人軍人の肖像、その実務を担う兵士たちの姿をこの写真集に収…

小沢豁郎『碧蹄蹂躪記』

小沢豁郎(天游) 『碧蹄蹂躪記』 東京, 豊島鉄太郎, 明治24(1897)年, 58p.<本文>小沢豁郎(1858-1901)は長野生まれの陸軍中尉。 1884年から翌年にかけて行われた清仏戦争に際して、フランス語に堪能だった小沢は福州において諜報活動を行った。結果だ…

久保任天『立志青年世界無銭旅行』

久保任天(角平) 『立志青年世界無銭旅行』 東京, 成功雑誌社, 明治43(1910)年, 202p.<本文>明治時代は、比較的身分が固定されていた江戸時代とは打って変わって、「立身出世」の時代だったとする意見もある。とは言え、その「立身出世」の中身が一様で…

明治時代の旅行記を読む

7月29日、某勉強会で「明治時代の旅行記を読む」という5分のスピーチをしたので、その内容を掲載しておきます。このblogで紹介している明治時代の旅行記の紹介シリーズの趣旨説明みたいになっています。 1.個人blog「Traveling LIBRARIAN-旅する図書館屋」…

井上方勝『北ボルネオ』

井上方勝 『北ボルネオ』 神戸, 井上方勝, 明治28(1895)年, 61p. <本文>明治時代に多くの日本人が移民として海を渡っていったが、北ボルネオもその目的地の一つだった。北ボルネオ移民の第一波が1893〜1895年だったらしい(ちょうど世界大不況の時期と重…

南条文雄・高楠順次郎『仏領印度支那』

南条文雄・高楠順次郎 『仏領印度支那』 東京, 文明堂, 明治36(1903)年, 185p.<本文>日本の東洋学における明治という時代は、欧米の東洋学と従来の漢学の素養をベースにした独自の東洋学を構築し、世界の東洋学界に地位を築こうとしていた時期だったと言…

多田恵一『南極探検私録』

多田恵一 『南極探検私録』 東京, 啓成社, 明治45(1912年), 400p.<本文>郡司成忠親子の千島探検では散々な目にあった白瀬矗は、帰国して紆余曲折を経た後、南極を目指すことになった。当時、世界の探検家たちが前人未到の南極点到達を目指して競いあって…

金尾種次郎『川上音二郎貞奴漫遊記』

金尾種次郎 『川上音二郎貞奴漫遊記』 大阪, 金尾文淵堂, 明治34(1901)年, 85丁.<本文>壮士芝居(書生芝居)で人気を博した川上音二郎(1864-1911)は、明治32年から明治34年にかけて妻で看板女優の貞奴(1871-1946)を含む「川上書生芝居」一座19名を率…

仲小路廉『欧米巡遊雑記 米国之部』

仲小路廉述, 長谷川友次郎編 『欧米巡遊雑記 米国之部』 東京, 長谷川友次郎, 明治33(1900)年, 130p.<本文>仲小路廉(1866-1924)は、周防生まれの官僚・政治家。 明治32年の4月から、東京控訴院検事兼司法省参事官の任にあった仲小路は、司法制度調査の…

夏目漱石『漱石近什四篇』

夏目漱石 『漱石近什四篇』 東京, 春陽堂, 明治43(1910)年, 287p.<本文>夏目漱石(1867-1916)は『それから』を書き終えた1909年、予備門時代の友人で当時の満鉄総裁だった中村是公の誘いを受けて満州・韓国方面への旅に出た。 9月6日に大連着、その後、…

杉浦重剛『塾主渡清日誌』

称好塾編 『塾主渡清日誌』 東京, 称好塾, 明治35(1902)年, 26p.<本文>膳所生まれの国粋主義的な教育家/思想家である杉浦重剛(1855-1924)は、1880年にイギリス留学から帰国し、東京大学職員・衆議院議員などを務める傍ら、1883年から「称好塾」という…

小笠原長生『英皇戴冠式参列渡英日録』

小笠原長生 『英皇戴冠式参列渡英日録』 東京, 軍事教育会, 明治36(1903)年, 157p.<本文>東アジアに勢力を拡大させつつあったロシアに対抗するために日本と英国の間で締結されたのが、1902年の日英同盟。折しもその3か月後に行われた英国王エドワード7世…

松原新之助『露国聖彼得堡府万国漁業博覧会報告』

松原新之助 『露国聖彼得堡府万国漁業博覧会報告』 東京, 農商務省水産局, 明治36年, 321p.<本文>松原新之助(1853-1916)は、島根県生まれで、水産講習所(東京海洋大学の前身)の初代所長(1903-1911)を務めた人物である。 松原は、明治34(1901)年にロ…

中島力造『欧米感想録』

中島力造 『欧米感想録』 東京, 東亜堂書房, 明治44(1911)年, 254p.<本文>中島力造(1858-1918)は京都生まれの倫理学研究者で、1982年から東京帝大で教鞭を執った人物である。本書は、本人多忙ということで実際の執筆は他人に任せていたらしい、中島が…

『万国陸海軍祝典参列員旅行日誌』

『万国陸海軍祝典参列員旅行日誌』〔出版地不明〕, 〔出版者不明〕, 〔明治年間〕, 91p.<本文>奥付などがないために詳しいことは分からないが、1907年にアメリカ恒久植民を開始した300周年記念式典に派遣された、黒木為腊を団長とする軍人ご一行の渡米記録…

大山鷹之介『土耳其航海記事』

大山鷹之介 『土耳其航海記事』 東京, 大山鷹之介, 明治24(1891)年, 163p.<本文>大山鷹之介(1869-1938)は海軍軍学校(1890年卒業、第17期)出身の海軍軍人で、1918年には海軍少将までなった人物。 第17期生の第1期実務練習として、折から日本近海で沈…

黒板勝美『西遊二年欧米文明記』

黒板勝美 『西遊二年欧米文明記』 東京, 文会堂書店, 明治44(1911)年, 824p.<本文>黒板勝美(1874-1946)は、『国史大系』の編纂で知られる長崎県出身の国史学者。明治41年からの2年間、アメリカ、イギリス、ルーマニア、ギリシャ、ドイツ、イタリアなど…

外務省通商局『墨西哥探検復命書』

外務省通商局 『墨西哥探検復命書』 東京, 外務省通商局, 明治26(1893)年, 58p.<本文>明治25(1892)年、外務大臣・榎本武揚はメキシコへの移民事業の可能性を探るべく、職員をメキシコに派遣した。本書はその際の報告書で、名義は橋口文蔵、宛先は1893…

海軍水路部『軍艦金剛土耳古国航海報告』

海軍水路部 『軍艦金剛土耳古国航海報告』 東京, 海軍水路部, 明治24(1891)年, 67p.<本文>「金剛」は、「「比叡」と同様に1875年にイギリスで起工、1878年から日本で就役した帝国海軍のコルベットである。日清・日露戦争出征後は測量業務に従事し、1909…

海軍水路部『軍艦比叡土耳古国航海報告』

海軍水路部 『軍艦比叡土耳古国航海報告』 東京, 水路部,明治25(1892)年,62 p.[<本文>明治23(1890)年9月16日紀伊大島樫野崎近海で、オスマン帝国のアブデュル・ハミト2世の命を受けて来日したエルトゥールル号が遭難・沈没した。老朽艦だった上に、経…

海軍水路部『軍艦比叡濠洲航海報告』

海軍水路部 『軍艦比叡濠洲航海報告』 東京, 海軍水路部, 明治26(1893)年, 114p.<本文>「比叡」(金剛型コルベット)は、1875年にイギリスで起工、1878年より日本で就役した。トルコ軍艦エルトゥールル号生存者を送還するために僚艦「金剛」とともにイス…

広瀬武夫『航南私記』

広瀬武夫遺著, 松平直亮校 『航南私記』 東京, 松平直亮, 明治38(1905)年, 175p.<本文>本書は、日露戦争で戦死して「軍神」と崇められた海軍軍人・広瀬武夫(1868-1904)が、若い頃に参加した訓練航海の日記である。広瀬の没後、彼の死に感銘を受けた伯…

外務省通商局『濠洲「タウンスビル」及「シドニ−」事情摘要』

外務省通商局 『濠洲「タウンスビル」及「シドニ−」事情摘要』 東京, 外務省通商局第二課, 明治27(1895)年, 28p.<本文>オーストラリアに日本人が渡るようになったのも明治時代のことらしい。1870年代頃から、真珠採り潜水夫やさとうきび農家、労働者、(…

神田正雄『西清事情』

神田正雄 『西清事情』 東京, 農事雑報社, 明治38(1905)年, 191p.<本文>神田正雄(1879-1961)は、早稲田大学出身の新聞記者・政治家。彼が大阪朝日新聞に入社する明治40(1907)年だが、大学卒業後の三年あまりを、当時日本にその様子が伝わっていなか…

西徳二郎『中亜細亜紀事』

西徳二郎 『中亜細亜紀事』 東京, 陸軍文庫, 明治19(1886)年, 421,270p.<本文>西徳二郎(1847-1912)はサンクト・ペテルブルグ日本公使館の代理公使の任を終えた明治13(1880)年、帰国に際して当時外国人の立ち入りが制限されていたロシア勢力下の中央…

金子堅太郎『遊米見聞録』

金子堅太郎 『遊米見聞録』 東京, 八尾書店, 明治33(1900)年, 168p.<本文>明治32年5月、金子堅太郎(1853-1942)は母校であるハーバード大学から名誉学位(名誉法学博士号)を授与されるということで、授与式に参加するために渡米した。この渡米要請は実…

野口米次郎『帰朝の記』

野口米次郎 『帰朝の記』 東京, 春陽堂, 明治37(1904)年, 140p.<本文>彫刻家イサム・ノグチの父親としても知られる詩人の野口米次郎(1875-1947)。明治26年に19歳で渡米後、アメリカ・イギリスで詩人としての地位を確立した明治37年、11年ぶりに日本に…

大岡育造『欧米管見』

大岡育造編 『欧米管見』 東京, 大岡育造, 明治34(1901)年, 188p.<本文>大岡育造(1856-1928)は、代言人(弁護士の前身)から政治家(政友会)に転身し、衆議院議長まで務めた人物である。 本書は、緒言に「本編はハ唯其見聞スル所ニ随テ放言漫語ヲ試ミ…

手島益雄『婦人の慰問使』

手島益雄 『婦人の慰問使』 東京, 愛国婦人会, 明治38(1905)年, 123p.<本文>かつて、奥村五百子(1845-1907)という猛女がいた。 若い頃は尊王攘夷運動に加わり、明治になってからは婦人運動に熱心に取り組んだ。また、朝鮮に学校を建てたり、日清戦争の…