軍事警察雑誌社『憲兵渡鮮案内』

軍事警察雑誌社編 『憲兵渡鮮案内』 東京, 軍事警察雑誌社, 明治44(1911)年, 55p.

<本文>

本書には、憲兵として赴任する者のために、荷物・軍馬の輸送や家族の携行、朝鮮半島での移動方法などから関税などの細々とした事柄などが記載されている。
日本統治下の韓国の、特にその初期においては、治安が安定しなかったこともあり、総督府はヨーロッパの国家憲兵の制度を参考にして憲兵警察制度を導入した。日韓併合初年の憲兵・警察あわせた人数が7712名(うち朝鮮人は4440名)で、そのうち「憲兵警察」は2019名(うち憲兵補助員の朝鮮人が1012名)であったという。言い換えると1017名の日本人が憲兵として赴任したということになる。1017人のうち何人がこの渡航案内を携えて朝鮮半島へと渡ったのだろうか。