西牟田靖『本で床は抜けるのか』

本で床は抜けるのか作者: 西牟田靖出版社/メーカー: 本の雑誌社発売日: 2015/03/05メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (17件) を見る『マガジン航』の人気連載を元にした、友人のノンフィクション作家・西牟田靖さんの新著『本で床は抜け…

「わが実家「蔵書放出祭」始末記」を執筆

「本と出版の未来」を考えるためのメディア、『マガジン航』に「わが実家「蔵書放出祭」始末記」という文章を書きました。昨年の11月から今年の1月にかけて、実家に溜め込んだ蔵書を処分した際の顛末をまとめたものです。僕自身はそこら辺にいる「ちょっと本…

荻野万之助『外遊三年』

<本文>荻野万之助という人物のことは詳しく調べられていない。 分かった範囲で書くと、慶応義塾卒業後に憲法・行政法等の勉強のためにアメリカ・ドイツに留学していたこと、留学中も『慶應義塾学報』に欧米の政治や外交について何本かの論説を投稿していた…

(番外編)寒空のオリオン

1999年11月28日。私は大和西大寺駅のケーブルテレビの前で革のジャケットのポケットに手を突っ込んで。どこかの国のサッカーリーグの中継をみながら人を待っていた。夕方だったが、季節のわりにはその日の宵はそれほど寒くなかった。でもそれは、僕があの旅…

CCoN2015写真リスト

"Mask" Arai-Yakushi, Tokyo, 2013.11. "Spring" Arai-Yakushi, Tokyo, 2014.4. "Lost" Yamato-Saidaiji, Nara, 2015.1. "Road" Yamato-Saidaiji, Nara, 2015.1. CCoN2014 CCoN2013 CCoN2012 CCoN2011 CCoN2010 CCoN2009 CCoN2008 CCoN2007 CCoN2006 CCoN2005

#138

2015.3 Arai, Tokyo. 旅師の蔭にはきっと涙がある。 赤坂憲雄「喜田貞吉 他者の旅を追体験する」 旅学的な文体 (五柳叢書 94)作者: 赤坂憲雄出版社/メーカー: 五柳書院発売日: 2010/03メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る

#137

2013.3 Nagata-cho, Tokyo. 旅のあとに書かれる機構は、旅のすべてではない。採集ノートという紀行以前の紀行のなかにはきっと、もうひとつの旅が埋もれている。 赤坂憲雄「折口信夫 紀行はみな旅のあとに」 旅学的な文体 (五柳叢書 94)作者: 赤坂憲雄出版社…

#136

2014.8 Komagome, Tokyo. 旅に出るきっかけは、たぶんケ(気)が枯れることだ。日常という名のケガレの堆積が、ある臨界点に達したとき、牧水はいやおうもなく旅に出る。 旅はときには寂しく、苦しく、厭わしい。なんの因果でこんな所まで来たのか、とわれな…

#135

2015.1 Yamato-Saidaiji, Nara. 目的のない散歩にも、いくらかの目的らしいことはあった。さびれはてた光景が、しばし立ち去りがたい心持ちにさせる、無用な感慨に打たれる、それ がなにより嬉しい、という。 赤坂憲雄「永井荷風 地図は旅の方法である」 旅…

#134

2013.5 Suwa, Nagano. 近代の旅は、いかに発見されたのか。この問いには深くそそられるものがある。放浪者の系譜とは異なった、もう一つの旅師の一群に眼を凝らさねばな らない。 赤坂憲雄「柳田邦男 民俗学は旅に繋がれて」 旅学的な文体 (五柳叢書 94)作者…

#133

2014.2 Gojo, Kyoto. 放浪への促しは、いかにも唐突にやって来る。 赤坂憲雄「山下清 サバイバル戦略として」 旅学的な文体 (五柳叢書 94)作者: 赤坂憲雄出版社/メーカー: 五柳書院発売日: 2010/03メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る

#132

2014.4 Arai-Yakushi, Tokyo. 旅のあとには、日常という名の、厳粛な戦場が待ち受けている。 赤坂憲雄「高群逸枝 まどろみに底、巡礼へ」 旅学的な文体 (五柳叢書 94)作者: 赤坂憲雄出版社/メーカー: 五柳書院発売日: 2010/03メディア: 単行本この商品を含む…

#131

2014.4 Arai-Yakushi, Tokyo. 人はしぐれて旅に棲み、乞食となる。かれらの眼には、世間が、世間の人が透けて見える。 赤坂憲雄「種田山頭火 人はしぐれて旅に棲む」 旅学的な文体 (五柳叢書 94)作者: 赤坂憲雄出版社/メーカー: 五柳書院発売日: 2010/03メデ…

#130

2015.1 Yamato-Saidaiji, Nara. 旅に棲む、という。それがときに乞食と同義であったことを忘れてはならない。 赤坂憲雄「高橋竹山 旅に棲み、世間を歩く」 旅学的な文体 (五柳叢書 94)作者: 赤坂憲雄出版社/メーカー: 五柳書院発売日: 2010/03メディア: 単行…

勉強会@中央線RT2014〜忘年編を開催

「次は2015年の3月かな…」と思っていたのですが、今般、本業を取り巻く状況が大きく変わったので、「忘年編」として急遽開催しました。「前倒し実施」は世の常人の常です。 明治時代に刊行された本なんかをインターネットとかで読んでいて、今の時代だとブロ…

B級写真カレンダー2015年版を作成

2012年、2013年、2014年…と続けてきたので、2015年のカレンダーも(ちょっと気が早いが)作った。使った写真は、今回もカラーであることと横長であることを条件に、これまで写真展等にあまり出したことがないもの、即ち「B級」を中心に、出来るだけ色々な場…

『共創がメディアを変える:コミュニケーションで紡ぐ新しい電子出版』出版

柳本浩市さんに初めてお会いしたのは、2011年9月3日に開催されたトークイベント<何に着目すべきか?>。複数人のホスト・ゲストが広いスペースの真ん中にあつらえられた壇上で入り乱れて、それぞれ持ち寄った本を肴にあれやこれやと語り合う…という一風変わ…

ハッカク氏のFUJITAYAに泊まる

旅先で出会う旅行者との「縁」は、つくづく不思議なものだと思う。意気投合してしばらく行動を共にする、帰国してから連絡を取って再会する…ということもたまにはあるが、基本的にはその場限りの関係だ。深く付き合うこともないので、通り過ぎれば、よほどの…

第2回LRGフォーラム・菅谷明子×猪谷千香クロストークに参加

第2回LRGフォーラム・菅谷明子×猪谷千香クロストークに参加してきました*1。当日の記録などは、雑誌『LRG(ライブラリ−・リソースガイド)』の次号にも掲載されるらしいので、ここでは備忘を兼ねて感じたことなどを簡単にまとめておきます。登壇者の一人、猪…

#129

2011.1 Jerusalem, Israel. 旅とは他者たちの日常を、つかの間切り裂き、行き過ぎる体験であるが、それはついに、回帰することがない、もうひとつの世界、それゆえ異郷や異界への逃避行としての蒸発において、その極北の理想形を見いだすにちがいない。 赤坂…

勉強会@中央線RT2014を開催

「学びの場としてのライフサイクルを終えた」と放言して勉強会@中央線NEOを終えて1年。あたかも、テレビの連続ドラマが終了後しばらくしてから2時間の特番で復活するように、勉強会@中央線RT*1として復活開催しました。 (40) 2014/3/25 高円寺HACO 日下九…

電子書籍『錫蘭巡礼』を出版

ずっと開店休業状態だった蒼風出版を再開。一昨年の『チベットへ』に続く二冊目、『錫蘭巡礼』をBCCKSで公開しました。 福林靖博著 『錫蘭巡礼』(2014.03.11 蒼風出版発行) ※無料 38頁 1.8MB →ダウンロードはこちらから http://bccks.jp/bcck/106061/info …

釈宗演『錫崘島志』

釈宗演 『錫崘島志』東京, 弘教書院, 明治23(1890)年, 93p.<本文>以前紹介した『欧米雲水記』に先立つこと18年前の1889年冬、若き宗演は留学先のセイロン(スリランカ)から帰国した。慶應義塾の恩師・福沢諭吉から「仏教の源流」を学ぶべく勧められた(…

関露香『本派本願寺法主大谷光瑞伯印度探検』

関露香『本派本願寺法主大谷光瑞伯印度探検』 東京, 博文館, 大正2(1913)年, 326p.<本文>大谷探検隊を組織し、時には自らも中央アジアを踏破した大谷光瑞のインド旅行・仏蹟調査の一部始終がまとめられた本…と思って読んでみたら、どうも違う。結論を言…

日野強 『伊黎紀行』

日野強 『伊黎紀行』 東京, 博文館, 明治42(1909)年.<日誌之部:本文> <地誌之部:本文>*1伊予生まれの陸軍軍人・日野強(1865-1920)が清国・新疆視察の命を受けたのは、日露戦争終了翌年の1906年夏のこと。 日露戦争で辛くも勝利したとは言え、新疆…

CCoN2014出展リスト

エア・ウォーク Gent, Belgium, 2010.8. 広場にて Gent, Belgium, 2010.8. プラットホーム Gent, Belgium, 2010.8. 雨上がり Gent, Belgium, 2010.8. CCoN2013 CCoN2012 CCoN2011 CCoN2010 CCoN2009 CCoN2008 CCoN2007 CCoN2006 CCoN2005

サードプレイスの獲得と消失

これから書くことを一言で片づけてしまうと、「馴染みのバーが閉店してしまった」ということだ。 **************************** 代々木八幡のショットバー、ミュアウート(MioRuilt)。腕の良いマスターが一人で切り盛りする、…

「図書館はコミュニティの核になるか」に参加

つながる図書館: コミュニティの核をめざす試み (ちくま新書)作者: 猪谷千香出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/01/07メディア: 新書この商品を含むブログ (39件) を見る最近刊行された猪谷千香さんによる『つながる図書館:コミュニティの核をめざす試…

B級写真カレンダー2014年版を作成

ちょっと気が早いが、一昨年、昨年に引き続き、2014年のカレンダーを作ってみた。使った写真は、今回もカラーであることと横長であることを条件に、これまで写真展等にあまり出したことがないもの、即ち「B級」を中心に、出来るだけ色々な場所で撮影したもの…

Library of the Year 2013最終選考会を振り返って

もはや旧聞に属するかもしれませんが、先だって告知したLibrary of the Year 2013 最終選考会が盛況のうちに終了しました(ustream録画はこちら)。クラウドファウンディングを活用した資金調達により開催に漕ぎつけた今回は、伊那市立図書館が大賞を受賞し…