旅行記:マレー半島編

(番外編)寒空のオリオン

1999年11月28日。私は大和西大寺駅のケーブルテレビの前で革のジャケットのポケットに手を突っ込んで。どこかの国のサッカーリーグの中継をみながら人を待っていた。夕方だったが、季節のわりにはその日の宵はそれほど寒くなかった。でもそれは、僕があの旅…

東南亜細亜彷徨1999_旅地図

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「初の海外一人旅」持っていった本

トム・ジョウンズ〈1〉 (岩波文庫)作者: フィールディング,Henry Fielding,朱牟田夏雄出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1975/06/16メディア: 文庫 クリック: 7回この商品を含むブログ (13件) を見る中原中也詩集 (ハルキ文庫)作者: 中原中也出版社/メーカー…

シンガポール〜帰国

3/14、15:30、バスはジョホール水道を抜けてシンガポールに入った。3年半ぶりのシンガポール。相変わらずキレイな国だ。タイでは、家の先には皮膚病にかかった犬が店先で一日中ゴロゴロしていたし、少し路地裏に入れば鶏が跳ねていた。マレーシアでは猫が目…

マラッカ(2)

次の日(3/13)、やることは何も無かった。たいがいの見る所は全て見た。ロビーでボーっとTVを見ていたら、管理人さんが「映画でも見てきな」と言って新聞を投げて寄こした。15:15からスーザン・サランドンとジュリア・ロバーツの“STEP MOM”をやる映画館が一番…

マラッカ(1)

次の日、午前中にマラッカに着いた。バスでは死んだ様に寝た。というのも、昨夜は一晩中、背中がかゆくて眠れなかったのだ。原因はカパス島で日焼け止めを塗らずに泳いだこと。カパスのツケは以外に速くやってきたようだ。朝、鏡で背中を見ると、ベロベロに…

バトゥ・パハ

クアラ・トレンガヌに戻ったのは12:00頃だった。B.S.の側のクーラーのきいたショッピングセンターの中のハンバーガーショップでチキンバーガーをほお張った。Kはクアンタンに行くという。僕はバトゥ・パハに行こうと思っていた。「お別れやな」「でもマラッカ…

プラウ・カパス(2)

4:00すぎには切り上げて、バンガローへ戻った。オフシーズンで暇そうなビーチボーイ達とビーチで蹴鞠をして、自分の下手さ加減を暴露してから、シャワーを浴びた。と、その時、向こう岸にクアラ・トレンガヌの方から重たい雲が急に湧き起って15分もしないうち…

プラウ・カパス(1)

B.S.で朝食を済ませた。マレーシアのB.S.は数多くの屋台や日用品店が入った、大きなショッピングセンターといった感じで、街の中心であり、マレーシアに於けるバスの占める位置の高さが窺える。 60分程で、カパス島(プラウ=島)へのボートの出る小さな漁村…

クアラ・トレンガヌ(2)

次の日、朝に弱い2人を残して9:00に出発して、この地方で一番美しいモスクと評判のフローティング・モスクに入ってみた。バスで30分程、海岸沿いに行った所にあるこのモスクは綺麗に整備されていて、公園みたいになっていた。モスクは初めてだったので、最初…

クアラ・トレンガヌ(1)

「ハーイ!」コタバルのマクドでマレーシアオリジナルのチリバーガーを食べていると、白人女性バックパッカーがしゃべりかけてきた。「どこへ行くの?」「僕はクアラ・トレンガヌへ」昨日、De999 G.H.に置いてある「歩き方」を読んでいて、この“クアラ・トレン…

コタバル

マレーシアの国境側の街はランタウ・パンジャンという舌のかみそうな名である。さすが国境側の街、バーツも使える。時計も一時間進ませなければいけない。バーツをマレーシアドル(M$)に替えた。レートは良くなかったが、これがないとバスには乗れない。それ…

ソンクラー

ソンクラーでは、全くと言っていい位、何もしなかった。朝はG.H.の側の喫茶店で揚げパンと激甘コーヒー(2日目は、僕の顔を見ただけでこれが出てきた)を食し、少し休憩した後、本を片手に1km程離れたサミラビーチへ行く。昼過ぎまで木陰のベンチで寝転んで…

バンコク(2)

5:00過ぎ、6:00スコータイホテルとかいう高級ホテルでの待ち合せに行く為、やっぱりG.H.の前で客引きしていたトゥクトゥクに乗った。はっきり言って体調は最低で、ゴチソウどころか何一つ食べたくなかった。「よりによって今日かよ」正直な感想だ。 ディナー…

バンコク(1)

朝4:00、バンコク着。J大生と別れ、地図で近くに見えたバン・スーJC駅へ歩いて行こうと思ったが、誰に聞いても「遠いからやめとけ」と言うし、暗くて方角も分からない。仕方なくバイクタクシーで駅まで行くことにした。45Bまでしか値切れなかったが、走った…

チェンセーン(3)

G.H.に戻ると、日本人の男3人連れがいた。きけば、J大生で、明日同じバスでバンコクへ行くという。小一時間とりとめもない話をした後、明日の早朝、朝日を見に行きませんか、と誘ってみた。起きれたら行く、という返事を貰って寝た。 6:30過ぎに、例の展望…

ゴールデン・トライアングル

9:00頃、G.T.へソンテウで出かけた。約30分。今回の旅の北部での最大の目玉だったので、かなり気合を入れていったが、昨夜のK大生の「期待する程のものじゃないよ」の言葉通りだった。ソンテウを降りて近くの岡を登っていくと、展望台になっていて、古びた…

チェンセーン(2)

やっとこさ寺(ワット・プラタート・チョーム・キティ)に着いた。地方の名刹、といった感じで非常に落ち着いた雰囲気だった。チェンセーンの街、メコンを望む素晴しい眺め、そよ風の絶えない木陰、どれをとっても最高だった。着いたのは12:00頃だったが、昼寝…

チェンセーン(1)

チェンライからバスに揺られること1時間、チェンセーンはチェンライより更に僕好みだった。つまり田舎だったのだ。セブンイレブンも無い程の。田舎とは言っても、かの有名なゴールデン・トライアングル(G.T.)まで9kmの所に位置しており、G.T.へのボートツア…

メーサイ〜タチレク

G.H.へ戻ってホットシャワー(!)を浴びてすぐ、例のお気に入りのカフェで朝食をとり、ミャンマー国境の街、メーサイ行きのバスに乗った。本来ならツーリストInnを出てメーサイ――ミャンマー国境の街というより村――へ宿を移すつもりだったのだが、チェンライ…

チェンライ

スーパーハイウェイを抜けて、バスで3時間。チェンライは期待通り、何も無い街だった。強いて挙げるなら、ワット・ドン・ムアンのオチャメな大仏様位。その仏様でさえ、見たら終わり、という感じだった。宿であるツーリストInn(日本人経営)で、日本語の本を…

チェンマイ(2)

翌日(2/22)は朝からチェンマイ郊外の山の上にあるワット・ドイ・ステープに行こうと思い、ソンテウ乗り場へ行った。乗るべき車はすぐ見つかったが、なかなか出発しそうにない。理由を同乗の初老のドイツ人に尋ねると、6人にならないと出発しない、とか。納得…

チェンマイ(1)

チェンマイ行きのバスは快適とは言い難かった。エアコンが無いので窓は開け放つ。これはいい。エアコンより風の方が気持ちいいのは列車で証明済みだ。ところがこのバス、100km/hを越える猛スピード(オンボロ車体には、という意味で)の中でもドアを閉めない…

アユタヤ〜スコータイ

翌2月18日、朝早くにG.H.を出てアユタヤ駅へ。(実は駅とアユタヤ市外の間にはチャオプラヤ川があり、これを越えるには渡し船に乗るしかないのだが、この1Bのクルーズが実に気持ちいい)行きの飛行機の中で隣の人から破って貰った“歩き方”の時刻表にあった8:…

アユタヤ

1999年2月17日、23時30分。僕がタイに放り出された時間である。海外に1人で来るのは初めて、タイのことなどロクにガイドブックも読まなかったので右も左も分からない、という僕にとって、このタイでの初めての夜をドン・ムアン空港の固いイスで、イビキをかい…

序文

なぜ人は“旅”に出るのか?それは人によって異なるだろう。旅先での様々な出会いを求めての場合もあれば、あれこれと、じっくりと思索する時間を求めての場合もあるだろう。しかし、結局の所、閉塞した現実からの逃避こそがその最大の動機ではないか?だから“…