勉強会@中央線RT2014を開催

「学びの場としてのライフサイクルを終えた」と放言して勉強会@中央線NEOを終えて1年。あたかも、テレビの連続ドラマが終了後しばらくしてから2時間の特番で復活するように、勉強会@中央線RT*1として復活開催しました。

(40) 2014/3/25 高円寺HACO 日下九八wikipedia日本語版管理者・編集者)「知識を公共のものに:知のインフラとしてのウィキペディアとその周辺」

ウィキペディアを取り上げようと思ったのには2つ理由があって、3年前のとあるトークイベントで「アーカイブを考える時には<再編集され続けること>と<偏りがあるのを認めること>が大事」という話があって、それって正にウィキペディア!と思っていたことと、図書館とウィキペディアというのはスケールの差こそあれ同じ「知のインフラ」なのに微妙な距離感があってよく知らない!ということとがあります(そして、こういう「みんなが知ってるけど知らない」テーマを選ぶと、多様な参加者と多岐にわたる議論が期待できる…という運営上の狙いもあります)。
日下さんのお話は、ご自身がウィキペディアに関わることになるまでの経緯や現在の管理者としての仕事、ウィキペディアタウン土木学会応用力学委員会のウィキペディアプロジェクトといったの最近の取り組み、そして様々なデータを保持・公開する公共機関・学術機関への期待・要望等々の様々なトピックを概観するもので、それぞれのトピックについて様々なバックグラウンドを持つ参加者が具体的なところを突っ込むような形で、会は盛況のうちに終了しました。
僕がとりわけ印象に残ったのは、日下さんが、自身の考える"ウィキペディアの目指すところ"について、「各地域で自律分散的に各地域の様々な事柄を調べ、ウィキペディアに書いていくようになること」という趣旨の話をされたことです。もちろん、これを成立させるためには(話に出ていたように)僕たち一人一人の「公共知の編集への参画」というリテラシーの向上が必須なのですが、ウィキペディアの持つ、地域づくり、或いは生涯学習のプラットフォームとしての可能性も感じられて興味深いところ。海外では図書館がウィキペディアの編集活動をサポートする動きもある*2ことですし、同じ「知のインフラ」を担うものとして考え、実践していくべきことは多そうです*3
スピーカを引き受けて頂いた日下九八さん、そして参加頂いた皆さん、僕の気まぐれにお付き合い頂き有難うございました。*4。 

*1:「場」の看板は迷ったのですが、「緩いながらも尖った場」としての<勉強会@中央線>は引き継いだ上で、戻ってきたということで"リターン"、よりとっ散らかってほしいということで"拡散"、という2つの意味を込めて、"NEO"に代わって"RT"を冠しました。

*2:カレントウェアネス-E1528 - 図書館とウィキペディアのこれからの関係は?

*3:ただ、話にも出たが、レファレンスでウィキペディアだけ確認して回答するのはダメだと思う。

*4:勉強会@中央線RTは、今年はもう開催しません。来年は未定ですが、やるとすれば同じ時期だろうと思っています。