旅行記:ラオス編

メコンの匂い、再び

この日は島の村祭りらしかった。 起きぬけの島を歩いていると、確かに昨日までとは雰囲気が違う。どことなくソワソワしていて、心が浮き立つ感じだ。とある家に集まって料理に励む女たちや、一家総出で麺を作っている家もあった。隣のレストランのおっさんも…

メコンに抱かれて

デット島では、朝日とともに目が覚めた。 全くの自由な時間だ。暇にまかせて散歩し、気に入った木蔭を見つけては文庫本を開き、顔見知りと会えばカフェでお喋りし、疲れたら昼寝する。脳みそが溶けていくのが、自分でもわかる。 その日の午後は、コーン・パ…

メコンの匂い

船が目的地のムアンセーンに着いたのは、夜の8時ごろだった。メコンに浮かぶドン・コーンの東に位置する集落だ。とは言え、正直に話すと、降りたところがムアン・セーンだとわかったのは、その日の宿の看板が「ムアン・セーン・ゲストハウス」となっていたか…

天国に一番近い場所

ワット・プーまではチャンパサックから7-8km。自転車で1時間程度の距離だ。一本道だから迷う心配もない。空はどこまでも青く、白いでっかい雲が編隊を組んで流れていく。街を抜ければ道の脇にポツポツと家があるばかりで、両手に地平線を抱えて走ることがで…

ボッタクリ天国

嵐の翌朝、まだ暗いうちから荷造りをしてホテルの外に出るとトゥクトゥクの運転手が満面の笑みを浮かべて待機していた。頼んでいたわけでもないのに用意周到で、ご苦労なことだ。 そして、予想通りバスステーションまで10000キップとあり得ない値段を吹っか…

犬は逝ってもバスは進む

ビエンチャン行きのバスは、これまた7時出発と朝が早い。朝食代わりのフランスパン・サンドイッチを片手にバスに乗り込むと、一番前の席に、前の日にプーシーの丘であしらっていた小坊主が座っていた。より正確に言うと、この小坊主は僕の隣にいた日本人の女…

ルアンパバーンの日々

ルアンパバーンに着いた翌日は、朝の5時過ぎに目が覚めた。旅に出るとそうなのだが、相変わらず目覚ましいらずだ。 今朝のお目当ては、ルアンパバーンの名物だという早朝の托鉢。いつか見た世界遺産のVTRでもこのシーンが印象的だったような気もする。そうい…

Passenger's High

翌朝、前の日に食事をともにした旅行者たちには挨拶もせずに早々にゲストハウスを出た。扉を開けると、朝の光が眩しかった。やっと太陽とご対面だ。 ゲストハウスを出てしばらく歩いたところで、国境を越えるところで一緒だったフランス人2人組とバッタリ出…

国境の雨

「あぁ、この匂い」 戦前、東南アジアを彷徨した詩人、金子光晴が二度目にマレー半島に降り立ったときの言葉である。 確かに東南アジアには、肌にまとわりつくような独特の湿感があって、そしてそれは日本にはない東南アジア固有の“匂い”のようなものを伴う…

この旅行記は2001年3月11日から4月2日までのメコンをめぐる旅の記録である。

ラオス卒業旅行2001_旅地図

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「卒業旅行」持っていった本

森の生活〈上〉ウォールデン (岩波文庫)作者: H.D.ソロー,Henry David Thoreau,飯田実出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1995/09/18メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 66回この商品を含むブログ (54件) を見る森の生活〈下〉ウォールデン (岩波文庫)作者: H…