六日目:成都

 翌朝は10時発のバスだったので、出発前にGuest House裏の康定寺を見学して、チベットの<匂い>とお別れをした。

 今日のバス旅も昨日の2人と同道。Guest Houseからターミナルまでは、“Convenient Guy”と揶揄されていたアメリカ人の発案(&おごり)でTAXIで移動し(6元)、早々にバスに乗り込んだ(115元)。
 途中、大きなトラブルもなく、16時過ぎには成都成都北駅バスターミナルに到着した。それにしても、7年前に中国の西北部を旅した時は、バスのエンストやムチャクチャな客集めによる(最大1日の)遅延は当たり前だったのに、今回はターミナルからターミナルまで、ほとんどトラブルらしいトラブルがなかった。このことは、旅行者としては歓迎すべきことなのだが、「中国らしくないなー」などと勝手なことを思ってしまう。

 成都では、理塘の張さんから紹介されていたSim's Cozy Guest Houseに泊まる予定だったので、もう少し良いホテルに泊まりたがっていた“Convenient Guy”とはここでお別れ。イタリア人と2人でTAXI(12元)に乗り込んだ。
 Sim's Cozyは、ステレオタイプな“伝統中国”をわざとらしく再現した“Chinese Amusement Park”文殊院のすぐ裏手にあるGuest Houseで、最近評判が良いらしい(1ベッド25元)。
 Guest House内には、レストランにバー、ネット端末、DVD鑑賞ルーム、三国志を全巻そらえている文庫、そして卓球台と、旅行者を飽きさせないあらゆる設備が整っている。経営者がシンガポール人と日本人の夫婦ということで、日本語を話せるスタッフもいるし、サービスも行き届いているし、清潔だ。カトマンズのタメルやバンコクのカオサンに完備されている旅行者を楽しませてくれる要素を、一つの敷地内に詰め込んだような感じとでも言おうか。ここから一歩も出ずに一日を過すことも可能だろう(実際、そういう人間もいた)。

 チベットから下りてきた後にカトマンズで暫く沈没してしまったことを(短いスパンで)再現するような成都の三日間が始まった。