レファレンス・サービスの業務モデルを模索する

「レファレンス・サービスこそ図書館サービスの真髄」みたいな話を聞くことが多いです。少なくとも僕は。
日本ではあまり定着しているとは言えないこのサービスの名称やこれからのあり方の議論は別に譲るとして、ある意味で「図書館の直接的な知識提供サービス」ともいえるこのサービスにおいて、これまできちんとした業務モデルが提示されてきたか、換言するならばライブラリアンのナレッジはマネジメントされてきたかというと、答えは「否」だと思います*1
ところで、知識創造モデル(SECIモデル)*2というナレッジマネジメントの基本理論として使われる知識創造のダイナミズムを示したモデルがあります。

これは非常に汎用的なモデルで、レファレンス・サービスのモデルに援用してみると、次のような形になるのではないかと考えます(これは、少し前から言われている「エビデンスに基づくアプローチ」のレファレンス部分を下支えするモデルにもなると思います)。

ここまでは、レファレンスの仕事をしていた6年前に考えていたところなのですが、最近読んだ本に刺激されて「学習モデル」も考えてみました(スタッフの雇用区分なども考慮に入れなければいけないのですが、ややこしくなるのでざっくり省きました)。

リフレクティブ・マネジャー 一流はつねに内省する (光文社新書)

リフレクティブ・マネジャー 一流はつねに内省する (光文社新書)

インターネット側ではYahoo!知恵袋などのQAサイトやWilipediaが台頭し、一方で従来の図書館サービス側ではリサーチ・ナビレファレンス協同データベースAPIも公開され、インターネット上の「ナレッジ・マッシュアップ」が面白くなりつつある昨今、図書館も足元も固めておかないといけないわけで。

*1:図書館員の「職人気質」と、それに伴う業務のマニュアル化、研修体制の確立への志向が薄かったためかと思っています。また、図書館によっては、そもそも配置された図書館員の数が少なかったり、人事異動がそう多くなかったために、そういった問題に直面してこなかったこともあるかもしれません

*2:野中郁次郎. 知識創造の経営―日本企業のエピステモロジー. 日本経済新聞社, 1991, 278p. / 梅本勝博. ライブラリアンとナレッジ・マネジメント. カレントアウェアネス. 2004, no.279, p.6-9.