そして帰国

 皆さんは旅に出る際に、親(特に母親)から「電話くらいしなさいよ」とか言われたことはないだろうか?ちなみに、私も私の兄弟もこれは散々言われた。そして、それなりにはこの指令を守ってきたと思っている。

 さて、今回の親孝行旅行に際して、日本に残る家族は「一回くらいは電話してくれ」みたいなことは言っていた。それに対して母親たち「それは当然」と言っていた。
 確かに、バリだと、ホテルから電話もかけられるし、従姉もいる。そしてそもそも、私の持っていた携帯電話は国際ローミング設定がされているので、海外旅行に不慣れな母親×2が電話をかけるのに、何ら障害がないのであった。

 ところが、である。
 事あるごとに「電話かけるか」と尋ねる娘・息子の言葉を「そのうち」「後で」といなす母親たち。「大丈夫かな?」と思っているうちに、気づけば旅も終わってしまったのであった。
 そして、あきれ果てた子どもに向かって、母親は最後にこうのたもうのであった。

「あんたらがなかなか電話かけてこなかった理由が分かったわ」

 「知らせがないのは良い知らせ」と、母親たちが帰宅してから強弁したのかどうかまでは確認していないが、とくもかくにも、こうして我々の初めての<親孝行旅行>は幕を閉じたのであった。
 従姉夫婦の協力もあって今回は無事にやり遂げることができたが、初めてということで至らない点もあったかもしれない。今後も改善と工夫を重ねていくことであろう。<親孝行旅行>の道は遠いのだ。