飛行機に乗る

 我々親孝行ツアー一行は、空港で液体持込なんかでもテンヤワンヤの騒ぎを巻き起こしながらも、何とか飛行機に乗り込んだ。
 飛行機はガルーダ・インドネシア。「これでもか」という位の日本人観光客ばかりで、学生からカップル、ギャル男君ご一行と、多士済々であった。また、我々のような<親孝行旅行>と思しき組み合わせも結構いた。どうやら、バリは<親孝行旅行>の聖地であるらしい。我々の選択は間違いではなかったといよいよ確信した。

 飛行機が離陸してほどなく、機内食が出てきた。慣れている私たち夫婦は「まぁこんなものか」と思っていたのだが、ふと傍らに目をやると、機内食を前にした母親×2は既に感極まった様子であった。私は、

「あぁ、既に我々の使命は達せられた」

と一人頷いた。実際のところ今回の旅行は、飛行機のチケットだけはこちらで取ったのだが、ホテルの手配とかその他モロモロは従姉夫婦にお任せしてしまったし。

 しかし、その台詞を吐くタイミングとしてはまだ早すぎたことを、後で思い知ることになる。