ヤンゴンを歩く #1

 パガンでのんびりしてから、ヤンゴンに戻ってきた。
 ヤンゴンは活力溢れる大都会だ。少なくとも、それまでの5日間パガンの緩い空気に馴染んでいた僕はそう思った。

 ダウンタウンは、スーレー・パヤーを中心に整然とした区割りになっていて、植民地時代の名残であるコロニアルな建物が埋め込まれている。とは言え、そんな建物にも普通に洗濯物が干してあったりして、大英帝国の遺産も、庶民の生活のパワーに飲み込まれてしまっているようだ。
 そして、ヤンゴンを区切る道路には日本の中古バスが渋滞し、人で溢れかえる狭い歩道にはびっしりとちょっと油っこいお菓子や雑貨や食料品などの色々な屋台が並ぶ。歩くのも一苦労だ。

 また、歩く人の顔つきも、ビルマ人がほとんどだったパガンとは一転して、インド系、中国系、シャン系、そしてビルマ系と、一気に多様化する。が、どんなに顔つきが違っても、男はみんなビルマの超合理的で未だに根強い人気を誇る民族衣装「ロンジー」(巻きスカート)をはいているし、女性だとタナカを塗っている人もいる。

 僕は知らないけれど、このヤンゴンの活気は、アジアならではの「現在進行形的な人のパワー」だけでなく、他ではあまり感じない「ノスタルジックな雰囲気」もあるような気がする。多分20年前のバンコクの中華街とかの様子はきっとこんなんじゃなかったのかなと思った。