ラダックへ

南をヒマラヤ山脈に、北をカラコルム山脈に囲まれたチベット文化圏の西の端に、ラダックは位置する。

一方でラダックは、近代国家の枠組みで考えれば、ラダックはインドの西北辺、ジャンムー・カシミール州に属し、アフガニスタンパキスタン、中国との国境に囲まれた地域である。

また、ラダック地域の大半は標高3000メートルを超える乾燥した山岳・高原地帯であるため、その地形的条件と、それが育む生態環境は非常に厳しい。

そこでは、チベット系のラダック人を筆頭に、先住民族であるアーリア系、トルコ系、カシミール人、ヒンドゥーなど、様々な出自を持つ人々が、それぞれの言葉と宗教を持って暮らしている。


僕がラダックの中心地であるレーを訪れたのは、2006年の2月24日から3月1日までの一週間。まだまだ春には早い、寒い季節だった。

陸軍軍人・日野強が、単騎カラコルムを命からがら越えて、日本人としては初めてラダックに入ってから、ちょうど99年目のことである。