旅行記:ラダック編

「独身最後の一人旅」持っていった本

儀礼の象徴性 (岩波現代文庫)作者: 青木保出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2006/02/16メディア: 文庫 クリック: 6回この商品を含むブログ (13件) を見る時間が足りずに途中で帰国することに。明治大正見聞史 (中公文庫)作者: 生方敏郎出版社/メーカー: 中…

レー・ドス・モチェ

僕のレー滞在中に、街は年に一度のドス・モチェの日を迎えた。 ドス・モチェとはチベット暦の年末(西暦では2月)の2日間に行われる豊年祭のようなもので、冬の間はさびれたレーの街も、この時ばかりはラダック中から集まってきた人たちで溢れかえるのだ。 …

ゴンパ巡り

【アルチ・チョスコル・ゴンパ】 アルチは静かな村だった。 入り組んだ路地を歩いていると、仲の良い井戸端会議メンバーで朝の散歩てらにやってきましたという風情の老婆五人組が、何事か楽しそうにお喋りしながらゴンパに向かって歩いてきた。背中には、コ…

レーのタクシードライバー

高山病の症状も幾分和らいできたので、タクシーをチャーターして少し遠出してみようと思った。本当は誰かと車をシェアしたかったところなのだが、手ごろな道連れが見つからず、結局一人で、3つのゴンパ―アルチ、リゾン、リキル―を周ることにした。 まだ夜も…

レーの行商人

レーのメインバザールの行き止りとなっているモスクを左に折れたところの通りに面した店は、冬の間は閉まっているらしい。たまに、取り残されたように土産物屋が開いていることもあるが、閑古鳥が鳴き続けているような有様だ。 その通りの南に面した側にはイ…

レーの日本人

オフシーズンのレーにいる外国人は数えるほどだ。ごく小さな街なので、数日もするとだいたいの顔を覚えてしまう。 日本人はというと、僕の他にデリーからの飛行機で一緒になった、T君という学生が一人いた。彼は京都から来た大学生で、インドばかり5回も貧…

Days in Leh

レーでの拠点は、ラダックでは珍しいクリスチャンのおばさんが切り盛りしているビムラ・ホテルというどのガイドブックにも載っているような「ちょっと良い安宿」だった。 そういうわけで夏場は人気の宿らしいが、僕が滞在したのはオフシーズンということで、…

高山病

案の定、高山病になった。 日本にいる時から体調もずっと良くなかったし、何より飛行機でラダックに入れば、高度障害を起こさない方が奇跡に近い。だから、覚悟はしていた。しかし、予想より遥かに重かった。 初日、朝はそうでもなかったが、夕方から一気に…

レーのにわか仏教徒

レーのメインバザールの脇に、比較的新しいゴンパがある。向かいにあるモスクに対抗して建てられたらしい。ちょっと五月蝿い朝夕に読経テープを流すのも、ムスリムのコーラン詠唱に負けまいとして始められたという。 このゴンパには、レー近郊の村々から多く…

レー旧市街にて

レーの旧市街は旧王宮の足元に広がる一帯で、ラダック独特の土レンガを積んで作られた建物の間を、狭い路地が入り組んでいる。ここは、すっかり整備舗装されたメインバザールやホテル街とは違う、チベットらしい糞とお香がまじったような匂いが充満する陰気…

ヒマラヤを跨ぐ

早朝、デリーを飛び立ったJet Airways機は、一時間もしないうちにヒマラヤ山脈の上空に到達した。 隣の席の男はアシュラと名乗った。レーに住むラダッキだという。名前から察するに、仏教徒なのだろう。薄茶色の目と彫の深い顔立ちで、ちょっとお洒落な口髭…

ラダックへ

南をヒマラヤ山脈に、北をカラコルム山脈に囲まれたチベット文化圏の西の端に、ラダックは位置する。一方でラダックは、近代国家の枠組みで考えれば、ラダックはインドの西北辺、ジャンムー・カシミール州に属し、アフガニスタン、パキスタン、中国との国境…