「都市の幸」としての図書館
もう5年以上前。代々木公園の近くの四畳半に住んでいた頃、毎週末のように代々木公園を走ったり散歩ししたりしたものだった。そんなある日、テレビ番組の取材とかで、「公園で生活する人たちをどう思いますか?」とマイクを向けられた。そのときは、突然の質問に面食らったこともあって、「気にならないわけではないけど、自分にはどうしようもないことなので仕方ないと思っている」というニュアンスのことを歯切れ悪く答えた。もっとも、その歯切れの悪さには特に深い理由などなく、単にそういった路上生活者の人たちのことについて深く考えたことがなかっただけに過ぎない。
そんなことを思い出したのは、坂口恭平著『独立国家のつくりかた』を読んでいたとき、こんなフレーズが飛び込んできたから。
彼にとって、公園は居間とトイレと水場を兼ねたもの。図書館は本棚であり、スーパーは冷蔵庫みたいなもの。
(略)
それを僕は「一つ屋根の下の都市」と名付けた。家が居住空間なのではなく、彼が毎日を過ごす都市空間のすべてが、彼の頭の中だけは大きな家なのだと。同じモノを見ていても、視点の確度を変えるだけでまったく別の意味を持つようになる。
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坂口によれば、路上生活者たちは、都市に捨てられた余剰物(ゴミ)を転用して、家を始めとする自らが生きるために必要な糧や術に変換している。坂口は別著『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』でそういった余剰物を「都市の幸」と名付けた。
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