川口メディアセブン:ブラウンジングトークセッションに参加

 だいぶ前ですが、9月16日に行われた川口メディアセブン:ブラウンジングトークセッション(ゲスト:仲俣暁生さん)に参加してきました(一年半ぶりの訪問でした)。イベントの仕掛け人であるメディアセブン・ディレクターの氏原茂将さんが書かれているので、今さら感は否めないのですが・・・。

ホットな時期にホットなネタだったので、それなりに知った顔も来ているのかと思いきや、意外にそうでもない顔ぶれ。裏を返せば、それだけみんなの関心を集める話題であり、またメディアセブンのイベントにお客さんが着いている証左と言えるかもしれません。とは言いつつ、すぐ下の市立図書館からの参加がゼロだったというこの事実は、去年のせんだいメディアテークでのイベントの時と同じで、やっぱりフクザツな気分です。全国図書館大会@奈良と日程がかぶったから、と思いたい。
 さて、会自体は、メディアセブン。・ディレクターの氏原氏将さんと仲俣さんとの対談形式で話が進みました。仲俣さんの論点をまとめると、次のようなものだったと思います。

  • これまでメディアを紙に任せすぎていたので、これからは(当面は紙のモノをデジタルに変換するとう文脈で)電子にシフトするだろう。そもそも、本にしても著作がたまたまそういう形態を取っているだけで、物理空間とインターネット空間の役割分担が大事。ただ、電子書籍については、現状が中規模書店にも及ばないデータ量だし。小説等でそういうシーンがないように、まだまだ不可欠なメディアではない。
  • 昨今の電子書籍ブームについても、以前からインターネット上にはテキストもアーカイブもあるのに、iPadなど分かりやすい商品として登場して理解しやすくなったので起きたのだと思う。やっとインターネットの本質が理解されたということかもしれないが、作為的なものを感じる。GoogleWikipediaのように「気づいたら使ってた」というのがあるべき姿。
  • ブラウジングのような不意の出会いをどう提供するかがインターネットでも物理空間としての図書館でも重要(「図書館のような場所の豊かさを電子書籍が受け継げるのか」という言葉を使われていましたね)。図書館は「図書館でないと買わないだろう」という本を集めることが大事。また、自費出版のような「複製されない著作」のアーカイブも行うべき。「人が自由に出入りして生きるための知性を獲得する場」が図書館だと思っている。図書館的な場所で電子時代の本について考えたい(本とは何かという問い自体が難しい)。

 個人的には、最後の方で出てきたこれから時代の「編集」とはどうあるべきなのかという議論が一番面白かったのですが、そこは仲俣さんの近著を読めば済むので、ここでは言及しません。

編集進化論 ─editするのは誰か? (Next Creator Book)

編集進化論 ─editするのは誰か? (Next Creator Book)

 氏原さんも説明していたように、メディアセブンという施設そのものが図書館が役割の一つとして(しかし、従来の司書のスキルでは十分にカバーできない)持っていた視聴覚教育の部分を全面的に押し出した「メディアリテラシー社会教育施設」。僕は、メディアセブンについて考えるときには、「青は藍より出でて藍よりも青し」という言葉を思い出します。