夫婦でウズベキスタンに行くことにした。
「東欧好き、遺跡好き」の妻と、「アジア好き」の私。その落とし所が中央アジアだったのだが、日ごろの感謝を込めて、妻を「接待」しようと思い、清水の舞台から飛び降りる気持ちで、チケットを手配した。
というのは表向き。学生時代から、私はどうしてもウズベキスタンに行きたかったのだ。
私の大学・大学院時代の専門はシルクロード史であり、とりわけイラン系の人々の唐帝国内での活動に興味を持っていた。具体的には、(我ながら暗い学生生活だったと思うが)彼らの墓から出てきた墓誌銘を読んでいたたのだ。
現在のウズベキスタン、タジキスタンという国家に属する領域は、ソグド人というイラン系民族のオアシス諸都市が点在し、“ソグディアナ”(ソグド人の土地)と呼ばれていた。つまり、私が研究対象としてきた人々の、言わば「故郷」なのである。これは行かずにはいられない。
もっとも、それなら暇な学生時代に行っとけよ、と思われるむきもあるかもしれない。実際、私も学生と社会人の境目の中途半端な時代―プータローともいう―に少し長めの旅行をしていた際に、中央アジアに行く予定はしていたのだが、アメリカのアフガン爆撃が始まったせいで中国側の国境が閉まってしまい、カシュガルから西に進めなかったのだ。
それから7年。リベンジの時はきた(有給使って行く機会がいくらでもあったろうに、という突っ込みはここでは無視する)。
というわけで、今回の旅のテーマは、「ウズベキスタンでソグドの痕跡を探る」。私は心の中に大きなノボリを立てた。。
ともあれ、こうして我々は、アシアナ航空の乗客となったのであった。
ちなみに、今回のソグド関係の参考資料は、恩師渾身の著作×2。
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