勉強会@中央線Z2020~新春の役
今回は、佐藤さんに、戦後占領期に日本で撮影された写真を求めて、アメリカの公文書館や図書館を訪問した調査での経験を元にお話いただきました。さらっと書きましたが、車で4万キロ走って、35箇所の図書館で150あまりのコレクションに目を通して、8万枚の写真を撮影する…というのは並大抵のことではありません…。
写真を使った都市史の研究という観点から写真を渉猟し、何が写っているのか、どう撮られたのか、なぜ撮られたのかを考えていこうとする佐藤先さんのアプローチは、太平洋戦争直後の日本占領期というある意味で特殊な期間を対象にした場合、必然的にアメリカに、公的・私的に残された写真を対象とすることになります(その際に、何が公的で何か私的なのか…という問題は当然あります)。佐藤さんが今回調査したアーカイブも、アメリカ国内でもまだ一部ですし、アメリカに留まらず当時の連合国全体に潜在的に資料が埋もれているかもしれませんし、更にいうと、個人が所蔵する写真にもまだまだ埋もれているものも多いでしょう(少し前に国立国会図書館が公開したモージャー氏撮影写真資料もこれに当たります)。
そう考えると、占領期という極めて限定的な期間であるにもかかわらず、対象とすべき写真もまだまだありそうだし、仮にそれらが全て明らかにできていたとしても、どのように研究するのか。考えられるべきことは多いですが、ディスカッションの中で出た「少なくとも機械(AI)が読めるようにはしておいてほしい」という一言は、極めて重要な指摘だろうと思います。
他にも面白いやり取りは色々あったのですが、印象に残ったのは、「自分は研究インフラを整備していると思っている」「アーカイブはメタデータ含めて整理されるのが理想だが、そうなると逆に研究者としては宝を探すような楽しみが減る」という佐藤さんのコメントですね。
あまり深掘りできなかったのですが、今回のお話には、在外史料を用いた日本研究の歴史とそのあり方…という側面もありました。まだまだ論点はありますので、続編も企画できればと考えています。
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