ARGカフェ・レポート

第1回ARGカフェへの招待(7/12(土)開催@秋葉原)で紹介されている「第1回ARGカフェ」参加してきました。懇親会も含めて、非常に刺激的でした。本業の方でも考えるところも少なくなかったのですが、最近ご無沙汰している大学院時代の専攻について、一度“アカデミズム”から弾かれてしまった者としての観点で、“アカデミズム”דインターネット”を改めて考える良い機会になりました(色々アイデアはありますが、まだここでは開陳しません)。
せっかくなので、ライトニング・トークを独断と偏見でピックアップしてみます(ポイント外していたら適宜ご指摘を)。

  • 岡本真(ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)) 「学術ウェブの10年を振り返る−ARGの10年と重ね合わせて」

10周年。ARGは今後、ネットでもリアルでもユーザ同士が結びつくプラットフォームを目指したい。

<コンテンツのデジタル化→成果の分析→成果の共有→他との連携>というサイクルを確立したい。

Directory of Open Access Journals in Japanの紹介。

  • 當山日出夫立命館グローバルCOE/Blogやまもも書斎記) 「デジタル・ヒューマニティーズ−自ら情報発信することの意味」

常用漢字に関する学術イベントを開催したが、その契機となったのは顔見知りでない研究者の同じ問題に対する情報発信。

ウェブでの著作の公開は、スピード・コスト・制約等の面でメリットも大きいが、(特にアカデミズム的な)社会的評価が低い。

オンライン・コミュニティの参加者は、500人を超えると直接知らない人も増えて把握できなくなる。一人で主催するリスクもある。これらはリアルと同様のリスク。

ARGがインターネットにおけるアンチ(反/半)・アカデミズムの「市民的専門家」としての役割を担っている。課題は、第三者評価の不在。

1年間のアメリカ滞在の経験から。<ネットで予習→実地の見学→blogでの報告→帰国後の報告会>という経験を踏まえると、ネットとリアルの両方必要。

ネットへの不信感は日本でのみ高い。しかし情報への「信頼」といった場合、そもそも情報の正確性を謳う新聞とユーザのリテラシーを前提にしたネットを同列に論じるのはいかがなものか?

ネットの環境がかなり良くなっても、バリアフリーには遠い。予算の問題か。

  • 佐藤翔筑波大学大学院) 「大学生・院生にとってのブログによる学術コミュニケーションの可能性」

blog執筆のメリットは、学会内でのインフォーマルコミュニケーションの増加(発表・執筆依頼など)。つまり、ネットワーク拡大の機会。しかし、blog等での業績をどう評価するかは課題。

災害情報発信のために、いち早く現場へ赴いて情報を収集、発信している。どのように「付加価値」を加えていくか、次のステップを模索中。

一通り話を伺って、ポイントになるのかなと思ったは、

  • インターネットにおける学術情報に対する評価の仕組み

だと思う。ここのところを変えないと、インターネットによる個人の学術情報発信(敢えて過激な言い方をすると)研究者の中でも「好事家」、或いは一般人の中でも「自称専門家」の枠を出るものにはならないのではないだろうか?

あと、ディスカッションで個人的にヒットしたのは、「ネットで情報発信する際のポリシーは?」という会場からの質問に対して、「自分でしか書けない記事を書くこと」という牛山さんのコメント。このblogも、そうありたいと思います。
最後に、かくも面白いイベントを開催されたid:argさんのこれまでの功績に対する敬意と、これからの展開への期待を表明しておきたいと思います。