はじめに

 明治時代、鎖国体制から解き放たれた日本人は、積極的に異国へと出て行きました。まだ限られた人しか海外へは渡れることができなかったとはいえ、それまでと比べると各段に多くの人が、世界各地へと旅立っていきました。そして、その旅の目的や旅程も、お偉い方々視察旅行であったり、そこらのおじさん達の団体旅行であったり、軍人の情報収集の旅であったり、若者の無銭旅行であったり、海外で一旗上げようとした移民の旅であったりと、様々なものでした。
 
 「明治」というまだ限られた情報しかなかった時代に、多くの驚きに遭遇しながら旅した彼らの記録は、現代の私たちに、あらためて旅の面白さを思い起こさせてくれるものだと思います。それが、「明治」を選んだ一つ目の理由です。

 もう一つ、「明治」にこだわる理由は、明治時代に出版された図書の多くが国立国会図書館が提供する「近代デジタルライブラリー」で全文画像がインターネット見ることができるからです。つまり、ここで紹介した本をその場で読んでもらえるというわけです。

そんなこんなで、週一回ペースを目安に「明治の旅行記」を紹介していきます。よろしければお付き合いください。