マイニング探検隊第1回勉強会に参加

ひょんなことから誘われてマイニング探検隊の一員となって、その第1回勉強会に参加してきました。趣旨や内容は、公式サイトとかtiwtterのまとめとかを見てもらえればいいとして、ツラツラと考えたことを幾つか書いておきます。
今回は、Web-APIのお話ということで、清田陽司さん(東京大学/リッテル)からその仕組みや使用例などの概説が40分ほどあって、それから30分程度のディスカッション。

ディスカッションでは、「では、Web-APIを使ってどんなサービスを作りますか?」という主催である岡本真さんの質問に、ハタと考え込んでしまいました。Yahoo知恵袋 VS レファレンス協同データベースで<集合知 VS 図書館>!的なサービスはとは前にチラッと思ったことはあったのですが、岡本さんが例でその場で言ってしまったのでボツ。みんなも面食らったのか、そんなに盛り上がらず、その場は今後考えていきましょう的な話になったので、近々APIが公開されるらしいリサーチ・ナビも含めて、ちょっと考えてみたいと思います。

さて、そんな中で(意外にも)盛り上がったのが、AmazonのWeb-APIの話題。Web-APIAmazon→書影をOPACに表示させる…というのは、よく聞く流れです(そう言えば、話題のカーリルAmazonあってこそのものですよね、今のところは)。Amazonに誘導すれば、「よりリッチな情報が案内できる」「(資金調達の一つの可能性として)アフィリエイトが期待できる」という意見もその場では出ましたが、基本的に僕も賛成です。自館OPACだけに閉じたサービスはもはや十分なものではないし、資金調達というのも今後の図書館の大きなテーマになるのは間違いないと思っています。
でも、書影にそんなに思い入れのない、そしてAmazon(ヘビー)ユーザではない僕にとっては、

  • 図書館サービスにおいて書影がそんなに必要なのか?
  • 必要なのであれば、その時はAmazonにリンクすればそれでよいのか?

というのは、かねがね疑問だったところ。
一つ目の問いについては、表紙を見せた方が顧客の購買意欲をそそるのは書店なんかでも実践して(自分もまんまと引っ掛かって)いるので、資料の利用促進という観点では確かに意味があるかもしれません。ただ、後で述べるようなリスクを抱えたままでも必要/必須なものだとはとても思えません。
それでは、書影が図書館サービスに必要/必須だとして、(現状、他に手はないのを承知で)Amazonにリンクを貼ってよいのでしょうか?特に、公共図書館の場合(指定管理者とかになると話がややこしくなりますが)。
確かに、ユーザの書籍入手の機会の拡大や書評などのよりリッチな情報を案内できるというメリットはありますが、一方で特定企業への利益誘導という側面も否定できないでしょう。「本を買ってもらえるのであれば、出版界にとっても有り難いはずだ」という意見もあるかもしれません。では、地元の書店(本屋が一軒もないような過疎地域だと話は別ですが)という立派に出版界の一翼を担っていて、かつ納税者でもあるステークホルダーにはどう説明/対応するのでしょうか。
誤解しないで頂きたいのですが、私はこういった試みに頑迷固陋に反対しているわけではありません。その取り組みの良し悪し以前に、少なくとも「公」の機関であれば説明責任があり、そのためにはそれなりの理論武装が必要だと思っています。私が自分の仕事で過去にこういった問題に直面したことがあるのですが、その時はその説明が十分に行えなかったのと、そもそも意味があるのかどうか疑問もあって、その時は回避しました(できるからやればいいというわけではない。そのサービスの狙いに合致するかどうかが大事なので)。
現時点では、もし書影(もちろんこれにも著作権が発生するので、それはそれで厄介です)がどうしても必要なのであれば、書影をまとめて管理する共通基盤を作るなどして、出版界・図書館界が納得するモデルを考える必要があると思っています(会では、Amazonか自社が飛ばす先も指定してもらった上で版元から書影を貰えばいいという意見もありましたね)。こんな面倒なことをやるくらいなら、Amazonとかからどう自館OPACに誘導するかを考えた方がマシだと思うんですけどね、個人的には。
話が長くなってしまいましたが、Web-APIというものを前にすると、当たり前ですがこれまで閉じていたサービスが外と繋がります。そうなると、これまで統計という形で現してきた評価基準(来館者人数とかアクセス数とか)では測れなくなってしまう。その時に、どうサービス/ビジネスモデル/説明責任を再構築していくのか、ということを考えていかなければいけないと思っています。仕事でやる場合は。
…と、もう少し技術的な話とかサービス実装イメージの話が出るのかなーと思っていましたが、ちょっと意外な展開でした。参加者の大多数が図書館員=わりとメタな/そもそもてきな話が大好きな人種(独断と偏見ですが)なので、まぁ予想通りな面もありましたけど…。ともあれこの勉強会、参加者の主体的な参画を前提とした体育会系的なノリで一年間やっていくそうです。自分としても、最近は「やらなければいけないことをどうやるか」ということにフォーカスした仕事ばかりしているので、これを機会に、色々と考えていきたいと思います。