プラウ・カパス(1)

 B.S.で朝食を済ませた。マレーシアのB.S.は数多くの屋台や日用品店が入った、大きなショッピングセンターといった感じで、街の中心であり、マレーシアに於けるバスの占める位置の高さが窺える。
 60分程で、カパス島(プラウ=島)へのボートの出る小さな漁村、マランに着いた。乗り場近くの喫茶店でクダ巻いていたうちの男の1人が「島まで連れてってやる。往復で25M$だ」ともちかけてきた。ガイドブックでは18M$だったので、フッカケられていたのだろう。「どうする?」Kの答えは以外だった。「いいんちゃう」確かに、その18M$の船がいつ出るのか分からない。「はやく釣りがしたい」仕方ない。少し遅れてきた日本人の学生と3人でボートに乗ることにした。

 島は想像以上に綺麗だった。白浜しか行ったことのない僕にとって、TVの向こうにしかなかった白い砂浜、青い海、ヤシの木、全てが目の前にあったのだ。船は正規の船着場でなく、ZAKI RESORTというバンガローの前の砂浜に直接着いた。ジャブジャブと波打ち際を歩きながら、「パク・テー・メダン(この男の名前)はここの客引きやったんか」と、少しムッとしていたが、こんな美しいビーチを目の前にしては、そんなことをいつまでも考えてられなかった。

 一番安い部屋(1泊20M$:2人部屋)に無理矢理3人で入って、すぐ泳ぎに出た。が、水着が無い。仕方なく、ボッタクリ承知で絞り染めパンツを1つ買い、そしてシュノーケリングセットを借りて、バンガローから300m離れたビーチに行くことにした。この島は周囲3kmという小ささで、もともと無人島だったらしく、島にはバンガロー形式のリゾートホテルが4、5軒あるだけだった。しかも、島の半分は岸壁で区切られていた。そして、その岸壁には白い木造の橋がかかっていた。丁度この時期、雨季の終わり頃だったので、日中はすっきりと晴れ、3月のうち1度しかスコールに遭わなかった。それでもやはりオフシーズンということで、客も少なく、ビーチによっては貸切ということもあった。その誰もいないビーチで、独り波打ち際に寝転んで波に揺られるのが最高だった。
 シュノーケリングは素晴しい体験になった。さんご礁も熱帯魚も、水族館以外で生で見るのは初めてだった。飽きることなく何時間も潜り続けた。これが後々、大変なことを引き起こすのだが、それはともかく、K曰く「石垣島の方がサンゴはキレイやけど、こっちの方は魚が逃げない」