九日目:成都

 目を覚ますと、少し二日酔いだった。
 理塘からの道連れだったイタリア人とお別れの朝食をしてから、TAXIで空港に向かった(70元)。旅にも言葉にも、少しは馴染んできたかなという頃になるともう帰国というのは毎度のことだが、やっぱり残念な気がする。そして、空港で余った現地通貨を湯水のごとく使ってお土産を買い込むことも(今回は、パンダ・チョコを御買い上げ)。 
 ともあれ、こうして僕の1年半ぶりの一人旅は幕を閉じた。結局、四川まで行ったのに、三星堆遺跡も大熊猫(パンダ)も見なかった。

 ただ、今回の旅はこれで終わらなかった。今回の旅の半分近くの時間をつるんだイタリア人は、その3週間後、予告どおりに東京にやってきた。新井薬師の行き着けの店で再会を祝う杯を傾け、そして、我が家に泊まっていった。彼とは、facebookでも連絡を取っている。
 また、成都のバスターミナルで別れたアメリカ人からも、その後、メールが来た。flickrに載せている写真を見てくれ、ということだった。
 “Web2.0”の波は、確実に旅行者にも押し寄せていて、世界はある意味で狭くなっていることを思い知らされた旅でもあった。