万国寝台急行列車会社『西比利亜鉄道旅行案内』

万国寝台急行列車会社 『西比利亜鉄道旅行案内』 東京, 万国寝台急行列車会社, 明治44(1911)年, 157p.

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今回は、いつもの旅行記から趣向を変えて、いつの時代も旅人に欠かせない<旅行ガイドブック>を紹介してみたい。

日露戦争が終了するまでは、ロシアの敷設したシベリア鉄道に神経を尖らせていた日本だが、戦争が終わって数年も経つと、シベリア鉄道のガイドブックが登場する。
万国寝台急行列車会社は、ヨーロッパ各国政府・鉄道会社と契約し、日本とヨーロッパを結ぶ列車や汽船の切符を販売していた会社。本書は同社の東京代理店が発行したもので、ウラジオストックからロンドンまでの鉄道事情及び沿線地域の旅行ガイドのほか、欧州航路・豪州・米国などの船旅のガイド、そして持ち物や郵便事情などの細々とした情報も掲載されている。
実際にこのガイドブックを携えて日本を出た人はどれだけいたのだろうか?
ところで、ロシア語単語帳(カタカナ表記)なんかはあっても便利かなとは思うのだが、英文の日本・朝鮮の主要都市及びホテルガイドはどういうニーズがあったのだろうか・・・??