『海豹島出張員復命書』

『海豹島出張員復命書』 樺太民政署, 明治40年2月, 22p.

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今回ご取り上げるのは、樺太民政署が出した職員の出張復命書である。
樺太民政署は、明治38年8月から40年3月まで置かれていた南樺太を所管する行政機関で、大泊(コルサコフ)に置かれていた(なお、3月14日に樺太庁が置かれて、「民政署」は消滅した)。民政署では、様々な資源調査を行い、その報告書を刊行しているが、本書もその一冊である。
海豹島は樺太敷香支庁の北知床半島沖合い20kmの地点に浮かぶ島で、現在はロシア領なので、チュレーニー島と呼ばれている(“チュレーニー”はロシア語でアザラシのことを指す)。オットセイやウミガラスが数多く棲息する島としても知られている。
この復命書によれば、海豹島への出張は明治39年の6月から11月にかけて行われたらしい。調査内容は、オットセイ。島に棲息するオットセイの習性を調べたり、頭数を数えたりしている。オットセイは薬用などで珍重されたらしいので、そのための現状調査ということだったのだろう。