#145


2016.3 Minakami, Japan.

汽車が駅から動き出した時位、それまでのことを一切後にして来たという気分がすることはない。
吉田健一「忙中の閑」

汽車旅の酒 (中公文庫)

汽車旅の酒 (中公文庫)

#144


2016.10 Tsuchiura, Japan.

旅も、本も、何れもそれだけで幾らでも未来の夢が描けるものである。併しそれだから、止めて置く。凡ては老後の楽みに取って置こうと思うのである。
吉田健一「老後」

汽車旅の酒 (中公文庫)

汽車旅の酒 (中公文庫)

#143


2015.10 Nara, Japan.

碌に旅行をしたことがないものだから、旅情などということを持ち出して、自分が生れる前の昔を恋しがったりすることになる。
吉田健一「超特急」

汽車旅の酒 (中公文庫)

汽車旅の酒 (中公文庫)

#142


2015.10 Nara, Japan.

もの珍しかったり、目先が変わったりするのと反対で、旅をしている時、或る場所がいつ来て見ても同じであること位、嬉しいものはない。
吉田健一「人間らしい生活」

汽車旅の酒 (中公文庫)

汽車旅の酒 (中公文庫)

#141


2015.10 Yamato-Saidaiji, Japan.

どうあっても間違いないことは、我々が汽車その他から降りた場所は、我々が住んでいる所ではないということである。
吉田健一「帰郷」

汽車旅の酒 (中公文庫)

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#140


2016.10 Tsuchiura, Japan.

旅行をする時には、普通はどうでもいいようなことが大事であるらしい。
吉田健一「道草」

汽車旅の酒 (中公文庫)

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#139


2016.3 Minakami, Japan.

旅行をするときは、気が付いて見たら汽車に乗っていたという風にありたいものである。
吉田健一「金沢」

汽車旅の酒 (中公文庫)

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