Library of the Year10周年記念フォーラムを開催

これまであまり明確にしてきませんでしたが、Library of the Year(LoY)には立ち上げの2006年以降ずっと関わってきました。もちろんボランタリーです。誘われて関わるようになったのですが、最初は事務局仕事を手伝いながら、第1回(2006年)では農林水産研究情報総合センターの、第3回(2008年)では恵庭市立図書館のプレゼンタをやり、そして第4回(2009年)以降は、選考委員会の副委員長として選考全体の取り回しをしてきました。

そんなわけで、先日の第17回図書館総合展のフォーラムの一つとして自分が企画したLibrary of the Year10周年記念フォーラムにはとても感慨深いものがありました*1。9月に入って急遽開催できることになったこともあり、シンプルに創設メンバ(高山正也先生・田村俊作先生・大串夏身先生。それぞれ微妙に方向性が違うのがミソ)から過去の受賞機関*2の関係者の方、そして同世代のメンバ(岡野裕行先生)にそれぞれ語ってもらう…という組み立てにしたのですが、これまであまり表に出てこなかった?皆さんの思いやら何やらが言葉になったという意味で、とても意義のあるイベントだったと自負しています*3
とりわけ、田村先生の

  • LoYは図書館(ライブラリー)の概念を広げようとする動きを持っていた。
  • LoYにおいて(公共)図書館観の変化を先取りし、「これからの図書館像」(2006年)以後の図書館像を提示できたのではないか。

というLoY評には強く首肯しました。現在の「ライブラリー=図書館(的なもの)」をめぐるあれこれは、10年前と比較すると隔日の感があります(10年たって「原点回帰」というか、より図書館の本質を問い直すものになってきている気もしますが)。だからこそ、僕自身、LoYに関わっていて勉強になったし、何より楽しむことができました。

さて、LoYは今年の第10回を一つの区切りとして、いったん休止することとなりました。
LoYがどのような10年を歩み、そして何を残したのか。それについては、来月刊行予定の雑誌『Library Resource Guide』の特集記事を読んで頂ければと思います(現在準備中)が、一つ言えるのは、LoYの社会的な認知度が上がって環境が大きく変わるとともに、元来孕んでいた課題や矛盾が大きくなってしまい、小手先の改善ではどうにも解決できなくなってきていたということです。この決断に至るまでに、選考委員を含めて多くの人と対話しましたが、(見直す視点や方向性は必ずしも一致しているわけではないものの)「立ち止まるには良い機会だと思う」という声も多く聞かれたので、妥当な結論だと思っています。
その抱える課題や矛盾を、中の人=自分が解決することができれば一番良いのですが、本業の片手間で毎年の選考作業と並行しながら、様々な関係者の思いや思惑、そして利害を調整するのは、ほぼ不可能だと考えました。もちろん、僕自身として「こうしたい」ということが全くないわけではないのですが、責任もってそこまで関わる時間は正直なところ、ありません。一度、(僕の手の離れたところで)ゼロベースから見直してもらいたい。それが今回の「休止」です。ですので、仮に今後、LoYの今後の在り方について動きがあったとしても、少なくとも僕がそこに関わることはないでしょう。

自分の記録用に長々と書いてきましたが、最後にLoYに関わって頂いた全ての方に感謝したいと思います。どうも有り難うございました。

*1:同じ日には、10回目となるLoY2015最終選考会も開催されましたが、こちらは選考〜プレゼンタ&審査員の選任までは担当したものの、イベントとしての仕切りは別の担当にお任せでした。

*2:第1回大賞受賞の鳥取県立図書館と、第7回大賞受賞のビブリオバトル。LoY受賞を契機にした変化とその後の継続的な取り組みを語ってもらうには最適な2組だと思っています。

*3:開催場所や時間を考えれば、のべ100人程度という参加者数も、成功の部類に入れていいでしょう(ただし、僕の司会の出来は赤点…)。