「何に着目すべきか? VS nomazon:本をめぐる繋がりの可能性」に参加

ハーマンミラーストアイベント、「何に着目すべきか? VS nomazon:本をめぐる繋がりの可能性」に参加してきた。橋詰宗君たちが手がける「何に着目すべきか?」のイベントに参加するのは、自分も少しだけ登壇させてもらった去年の9月以来。
今回のトークイベントのメインはNOMAZON。これまであまりよく知らなかったのだけれど、これが興味深かった。
NOMAZONとは、Amazonのリストにはない本だけが集まったWeb上のブックショップ。個性的で他では手に入らない本を、仕掛け人でもある江口宏志さんをはじめとするセレクターが紹介するという、本人たちの言葉を借りれば、「ニッチで重箱の隅をつつくような」サービスを狙っている。主にカルチャー系。Amazonにない本が対象と言うことで、いきおいここで紹介されるのは、自費出版やフリーペーパーといったふつうの出版流通に乗らない本がほとんどになってくる(もし後でAmazonに掲載されたら、その時点で削除するそうだ。最近は、Amazonでもリトルプレスのものも結構掲載されるようになっているとのこと)。どれも、セレクターたちが街で見かけたものをピックアップしているとのこと。
Webサイト上での紹介の仕方も面白い。曰く「検索は放棄して展示することを狙った」という、Amazonや図書館の蔵書検索サービスと一線を画したインターフェイス。特定の対象に向かって絞り込む検索するというよりも、付与されたタグをキーにしてぶらぶらとブラウズするようなイメージなのだが、そのタブも「community」とか「local」といった(中身ではなく)流通形態?に沿ったものときている。「遊び」の要素がとても強いつくりだ。江口さんは「僕達は整理したいんですよ」と言っていたけれど、この整理のアプローチは盲点だった。
そして、NOMAZONのサイトで書影をクリックすると出版元へとリンクして、そこからその本を購入することができる。「作り手と読み手をつなぎたい」というような発言もあったけれど、今後、ユーザが増えて、オルタナティブなプラットフォームとなることがNOMAZONの目指すところなのだろう。「最初はAmazonもこんななりだったんじゃないかな」というコメントもあったけれど、僕もそんな気がする。
ここで、NOAMAZONを図書館に引きつけてみたい。多くの地方公共図書館では、「地域資料」というその土地に関する資料をコレクションしている。よく借りられる本はどこもそうたいして変わらないが、この地域資料にこそ図書館の個性が表れるし、「地域の記憶装置としての図書館」という役割を軸に考えれば、これこそがメインのコンテンツだともよく言われる(その実態はともかく)。で、地域資料といったときに、行政資料や郷土史研究資料ばかりではなくて、こういった「NOMAZON的な本」にも着目すべきじゃないだろうか。無論、こういったパンフレット類の収集に積極的に取り組んでいる図書館がそれなりにあるのも知っているが、そんなに一般的でもないのが実情だし。
そのときに、NOMAZONがやっている「NOAMZON的な本」の「収集」と「提供」のアプローチは参考になるんじゃないかと思う。折しも、イベントでフロアから「NOMAZONは今後どうするのか」みたいな質問が出ていたが、僕はその「収集」と「提供」の方法論化が、NOMAZONの次なる課題であり、そして図書館にも応用可能な要素が多くありそうな気がするのだ。
ともあれ、これからしばらくはNOMAZONに「着目」していきたいと思います。