小浜島-東京(6/6)&総括

 最終日。名残惜しいが、この日は東京に戻らねばならない。ついでに言うと、緩み切った頭のネジも財布の紐も、きちんと締め直さなければいけない。
 荷造りを終えて、いつものようにビュッフェの朝食へ。そして、いつものように目玉焼きを焼いてもらっていると、コックさんから声をかけられた。
「今日お帰りになられるんですか?滞在頂いた間、ずっと天気が悪くて申し訳ないです」
言うまでもなく今回の滞在が天候に恵まれなかったのはこのコックさんの責任ではないのだが、悪天候でさえ引き受けてしまうそのホスピタリティには、ちょっと感動してしまった。こういうことがあると、また来たくなる。
 港までの車も、離島桟橋までの航海も、空港までのタクシーも、羽田までの飛行機も、羽田から自宅までの道のりも、どの移動もスムーズに終えることができた。子ども連れだと、こういう何でもない異動でも色々あってそれがストレスになるのだが、飛行機で爆睡してくれたこともあり、特筆すべきトラブルも起きなかった。

 さて、こうして私自身にとって二度目の八重山への旅は終わった。
 今回の旅は「家族接待旅行」と銘打っていたものの、それがどこまで達成できていたかというと、非常に心もとない。当然のことながら子どもを最優先に考えた組立てや行動になっていたが、それが妻にとって「接待」となったかどうかは微妙、というのが一つ目の理由。二つ目の理由としては、そもそもの話ではあるのだが、子ども本人が行きたかったのかどうか確認する術がないということ(彼女のリアクションを見れば、楽しくなかったということはないだろうが)。この辺りは、家族接待旅行そのものが孕む根本的な問題だろう。
 ただ、一つ確実に言えるのは、(少なくとも親にとって)子どもを連れた旅というのも悪くない、ということ。「子どもを面倒みる(食わせる、機嫌をとる)」という軸ができれば、旅の組立てもシンプルになるし、何より「喜んでもらう」楽しみという要素が増える。子どもの人数や年齢に応じて注意しなければならないポイントも変わるので、一概に「こうだ」というものでもないのだろうが、少なくともこれまで経験してきた旅のスタイルとは、一線を画するものであることは間違いない。もっとも、撮影する写真の被写体が子どもや食事ばかりになってしまいがちなのはあまり好ましくないのだが。
 ともあれ、今後も「家族接待旅行」というのは精進しなければならない旅のスタイルであることには確かだ。そして、それは「全く同じ状況ということが二度とない」という意味で、これまで以上に一期一会のものとなるだろう。さすがに毎年大名旅行というわけにはいかないだろうが、次の仕事の区切りにはガツンとかましたいところだ。