「紙と束見本」展

石けんブラザーズで一緒にやらせてもらってる橋詰宗君が束見本の展示を手掛けたというので、行ってきた。

「紙と束見本」展 2011年11月9日(水)〜11月21日(月) @株式会社竹尾 見本帖本店2F
デザイナー、編集者、出版社、印刷所等から集められた150冊をも超える優れた造本設計の束見本の数々を会場にて実際に触れながらご覧いただけます。本来あるべき内容が一切削ぎ落とされた、アノニマスな構造体・建築物としての本をぜひ会場にてお楽しみください。

「束見本」というもの自体、僕は今回初めて知ったのだが、印刷物の仕上がりを確認するために、実際の用紙(白紙)を使って作った見本ということらしい。必ず作られるものでもないが、基本的にその一冊ごとに作られるものらしい(用が済むと捨てられることも多いので、アーカイブされることもないそうだ)。
二階にあるギャラリーに入ると、そこには、平台と棚に「本」が、橋詰君の分類(形態であったり色であったり)に従って展示されている。どれも、橋詰君が知り合い等からかき集めたものらしい。本来あるべき内容、即ちテキストがないためにより際立った「紙の本」というメディアの持つ質感が印象的だ。また、一点ものであり、そして著者と編集者、或いはデザイナーとのコミュニケーションツールであるが故に残された、書き込みも生々しい。
ともあれ、「紙の本」の持つ「質感」と作り手の「フェチズム」が濃縮されたこの展示は、今の時代だからこそより新鮮に映るのかもしれない(僕が行った日はユトレヒトの江口宏志さんを相手にしたギャラリートークをやっていたので、展示の意図や狙いがよく分かった)。続編の企画もあるそうなので、そちらにも期待。