祝辞


ケイタ君、○○さん、そしてご両家の皆様、この度はご結婚おめでとうございます。

この場にはケイタ君の学校や仕事関係の方々が多いかとは思いますが、僕とケイタ君が出会ったのは旅先で、具体的には12年前のマレーシアのカパス島という小さな島に向かう船でした
カパス島は30分ほどで周れてしまうような小さな島で、そこで彼と3日ほど泳いだり、本を読んだりしながらのんびりと過ごしました。イスラム圏なので、ケイタ君も僕も大好きなビールが手に入りにくかったのは残念でしたが。
その時はウマが合うなという気がしていたのですが、どういうわけか連絡先を交換せずに別れました。けれども、縁があったようで、その後に訪れたマラッカで再びばったり出会いました。その際、後で飲もうと約束したのですが、今度はけた外れのスコールに遭い、再会できずに日本に帰ることになりました。

普通ならそれで終わりなのですが、やっぱり飲めなかったのは心残りだったので、またケイタ君の大学が僕の地元の奈良県内にあったということで、同じ大学に行っていた後輩を使って連絡先を調べてもらい、帰国から半年以上経ってから奈良でようやくビールを飲むことができました。それから12年間、たまに会って飲んで、しゃべっています。当時は、今日こうやって話をさせて頂くとは想像もしていなかったわけで、ケイタ君との出会いには、旅と人の出会いの妙というものをを感じます。

ところで、彼と出会って12年が経つのですが、当時のケイタ君と今日のケイタ君とを比べても、受ける印象は変わっていません。それを一言で言うのなら、「酔狂」。
重いバックパックを担いで旅に出るだけならまだしも、釣竿持参。帰国後は、学生、営業マン、家具職人と会う度に職業が変わり、挙句の果てには自分で自分の家を建てている。これを「酔狂」と言わずに何と言いましょうか。
でも、ここで使っている「酔狂」という言葉は、悪い意味ではありません。ケイタ君を見ていると、飄々と自分の行きたい方向に自分のペースで向かって行っているように見えます。それは、とかく前のめりになりがちな世間の流れとは少し空気感が違う気がしていて、彼と話しているととても心地よく感じます。

これから先も、ケイタ君とはたまに会うことしかないだろうとは思いますが、そのときには肩の力が抜けた感じで色んなことを話せたらなと思っています。改めて、今日はおめでとう。