新しい時代の図書館研究会第5回研究交流会に参加

新しい時代の図書館研究会第5回研究交流会@武蔵野美術大学美術館・図書館に参加してきた。この研究会への参加は、第2回の多摩美大図書館第3回のせんだいメディアテークに続く3回目。毎度、よくある図書館系のこういった催しとは一味違う知見をもたらしてくれる。
さて、今回は4月に新装開館した武蔵野美術大学美術館・図書館(「美術資料館」から改称)がお題。2010年12月号の丸善ライブラリーニュースでも特集されているが、今注目の新館。事務部長の本庄美千代さんのレクチャー、見学、質疑応答の3本立てで会は行われた(諸事情により懇親会は欠席)。同じく参加されていた岡野裕行さんも記事を上げているし、そのうち会の公式サイトにも久慈達也さんがまとめを載せると思うけど、感じたところを書いておく。
建物とそれを運用する人間の関係。建物は、いかなるプロセスを踏むにせよ、結局は所与のものとして与えられるものだ。どの場合も、建てる側はそれなりの理念があるし、使う側にもそれなりの理想がある。多摩美大の場合もそうで、素晴らしいデザインではあるものの、それは必ずしも図書館側が考えるものに完全にマッチしたものではない。本庄さんもその辺りの苦労は(全部ぶっちゃけられないとはいえ)話のあちこちに出ていた。
それらを踏まえた上での本庄さんの一言は印象的だった。「与えられた意匠に機能をどう組み込むか」
機能を組み込むための、サインの設計であり、ICタグの利点をフルに活用したブックタッチ(本をかざすと、関連所蔵資料やイベント、組織レベルの利用履歴が表示される)などの新システムの設計なのだ。同館が凄いのは、この設計が上手く出来ているところだと思う。
「意匠に拡張性がないのであれば、運営に拡張性を持たせる」とも本庄さんは語っていた。新しく作られたものは、その時から陳腐化してしまう。同館の今後にも注目していきたい。ちなみに、アートアーカイブメタデータ整備も含む)への取り組みも進めているそうだ。
ともあれ、非常に有意義でした。皆さん、どうもありがとうございました。