再びカルカッタからの手紙


 
 2週間と少しぶりのカルカッタは、相変わらずの喧騒です。宿も前回と同じパラゴンです。ここへ来ると、不思議なくらい何もする気力が起きなくなってしまいます。

 そうそう、カルカッタに戻った一昨日、思わぬ出会いがありました。パラゴンのカウンターでシングルの部屋がないか尋ねたところ、宿の親父から思わぬ答えが。
「お前さんの分はもう友だちが取ってくれているよ」
 呆気に取られていると、奥から見覚えのある顔がひょっこりと顔を出しました。何と、ダージリンで別れたリョウでした。まさかのシッキム日帰りという荒業をこなした上に、バスの乗り継ぎで手間取っていた僕をどこかで追い抜いてしまっていたのです。
「見送らんとな」
 リョウは嬉しいことを言ってくれました。

 カルカッタでは、他にも懐かしい顔ぶれとの再会もありました。
 ラサからカトマンズまでのランドクルーザー・ツアーのシェア仲間のヨウコさん―彼女はしばらくの間、マザー・ハウスでボランティアをしているそうです―や、カトマンズでたまに一緒にご飯を食べていた韓国人のLeeくん。世界は広いようでいて、旅行者の辿るのルートはそれほど大差ないので、時期さえ同じであればこういった再会は珍しくないのです。
 みんなは、10日後にブッダガヤで開かれるダライラマ14世によるカーラチャクラ灌頂に行くそうです。そこには、カトマンズで別れたタダヒコやマサ、そしてリュウたちも集まるとか。羨ましいことこの上ないのですが、僕は明日の飛行機で発たなければいけません。
 唯一の懸念事項は、ホテルで発券してもらったビーマン・バングラデシュ航空のチケットに印字されている僕のパスポート番号と名前が間違っていたこと。親父は「No problem !」と断言してくれますが、安心はできません。とは言え、万が一ここに残ることになってもみんなと楽しくできそうなので、それはそれで悪くないのかもしれません。

 今夜は、リョウとホテル近くのレストランで、インド最後の晩餐を楽しみます。さすがに奮発しようと思います。