ARGカフェ&新しい図書館研究交流会@仙台

6月20日、仙台に行ってたのでご報告。

第三回新しい図書館研究交流会

新しい図書館研究交流会は前回に引き続いての参加。前回よりは建築目当ての参加者が減った分、少なめ。
会場となったせんだいメディアテーク(SMT)は、川口メディアセブン*1山口芸術情報センターといった新たな「市民参加型の公共の場」を提供する一連の施設の魁ともなった施設。とは言え、オープンしてはや9年。そろそろ総括、リニューアルの時期に来ているがその狙いは…ということで、ここを三回目の会場としたところに事務局側のそういった意図が出ているような気がします。言い換えれば、「新しいこと」を始めることもさることながら、それを継続し、トップを走り続けるということはどうなのか?ということかと。
さて、内容。ディスカッションはちょっと時間不足・突っ込み不足のところがあってやや残念(望蜀?)なところもありました。が、SMTの佐藤泰さんが、今後の課題として(1)業務のマニュアル化、(2)ワークショップの企画の持込の時などの相談にのる<レファレンス・サービス>の充実を挙げられていたのですが、その(2)が気になりました。
SMTでやろうとしている<レファレンス・サービス>は、図書館サービスの文脈で語られる<レファレンス・サービス>とは一線を画したもののはず。なのに、なぜ<レファレンス・サービス>という言葉をそこに当てはめようとするのか…。ディスカッションの場では時間が取れなかったのですが、もしそれが何らかの意図を持って図書館にアプローチしようとすることを狙ったものだとすれば、そこに同じ施設内にある市直営の図書館とSMTの微妙な距離感と緊張感が透けて見える気がするのは穿ちすぎでしょうか?*2

第四回ARGカフェ&フェスト

続いて同じ場所でARGカフェ*3。今回で3回目の参加です*4。前半より人数が増えたのだけれど、名簿を見てみると大半が図書館員(しかも大学)*5
別にこれがダメってことではないのですが、ディスカッションの時に長神風二さんが「図書館員はARGカフェとかじゃなくてもっとアウェー(学会とか)で勝負しろ」みたいなことを言ってたけど*6、そもそもARGカフェって別に図書館員のための場ではないような気もしますが・・・(長神さんの指摘自体は賛成だし、耳が痛い…)。その辺り、自分のことは棚に上げて、ARGカフェ的にはどうなのよ?という気もしないではなかったりするけど、主催の岡本真さんの方にしてみれば織り込み済みのことなのかもしれません。
肝心のライトニング・トーク。他の皆さんテンションが高いなぁと思いながら、自分のはリハ不足がたたってやや尻切れトンボになってしまったのが反省点。ということで、サマリーだけ載せておきます*7

  • 図書館の「ナレッジ」
    • 「図書館(員)」は社会の「ナレッジ」を管理(集積・組織化・提供)する機能を果たしてきた。
    • しかし、「図書館(員)」自身の「ナレッジ」はきちんと管理されてきたのか?
  • 国立国会図書館の新サービス:リサーチ・ナビ(09/5/11公開)
    • コンセプト:「信頼できる情報の道しるべ(=ナレッジ)」を提供し、ユーザをその必要とする情報へとナビゲートする
    • コンテンツ:調べ方案内(=コア)、各種DB(目次、参考図書紹介、その他特定の分野の本を探すDB)などの統合
    • 特徴:(1)検索によるナビゲーションとテーマ分類によるナビゲーション、(2)NDLの所蔵資料・レファレンス協同データベース・wikipedia等も横断検索、(3)NDL-SH、NDCにもとづく関連キーワードの提示(ツリー図、タグクラウド
    • 基盤としてあるもの:(1)イントラネットコミュニティ"REX"による情報・ニーズの掘り起こし・共有(他にも、選書、研修なども)、(2)(1)に基づく組織的なコンテンツ構築
  • 「ナレッジ」の棲み分け
  • まとめであり、はじまりであり
    • 図書館は激動の時代⇒外部環境(情報環境の激変)、内部環境(指定管理、組織風土)
    • まずは<内部>の「ナレッジ」をいかに管理するか?という観点から
  • 参考文献;
    • 国立国会図書館「リサーチ・ナビ:ここに、調べもののヒントがあります」『国立国会図書館月報』 6月号, 2009, pp.12-15.
    • 齊藤まや「国立国会図書館主題情報部科学技術・経済課における職員のスキルアップと情報発信の取り組み」『医学図書館』56-1, 2009, pp.27-32.
    • 伊藤白、小澤弘太「レファレンス事例を活用したWeb上パスファインダーの作成・提供― 国立国会図書館科学技術・経済課における主題情報コンテンツ作成の取り組みと成果 ―」『参考書誌研究』68,2008,pp.50-68.

ミルフイユ 01

ミルフイユ 01


09/10/14 追記
『情報管理』52巻7号において、この集まりのレポートが載っていたのでリンクを貼っておきます。
-長神 風二, 岡本 真, 佐藤 亜紀, 佐藤 亜紀子. “学術情報の自由な集いが生む新たなつながり 第4回ARGカフェ@仙台”. 情報管理. Vol. 52, No. 7, (2009), 426-429 .

*1:メディアセブンの訪問記はこちら

*2:ちなみに、仙台市民図書館から参加されていた方はARGカフェも合わせていらっしゃらなかったと思います。

*3:twitterで実況中継もされてたみたいです

*4:参考までに1回目の記録2回目の記録を。

*5:これまで東京・京都と2回参加してきたのだが、それぞれ参加者の属性の分布が違っているのが興味深いところ。ARGの読者が地域によって違ってきているんですかね?

*6:同じく参加していた米澤誠さんも書いています

*7:熊谷慎一郎さんのまとめや主催の岡本真さんのまとめも参照。