松原新之助『露国聖彼得堡府万国漁業博覧会報告』

松原新之助 『露国聖彼得堡府万国漁業博覧会報告』 東京, 農商務省水産局, 明治36年, 321p.

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松原新之助(1853-1916)は、島根県生まれで、水産講習所東京海洋大学の前身)の初代所長(1903-1911)を務めた人物である。
松原は、明治34(1901)年にロシアのサンクトペテルスブルクで万国漁業博覧会が開かれた際に委員として農商務省から派遣され(職員の伊藤貫一も同行)、同時に開かれていた万国漁業会議にも出席した。
本書は、その際の出張報告書で、出展品の搬送方法や経費などの準備から、万国漁業博覧会の各国の出品の詳細、ロシア、フィンランド、タイ、スペイン、エジプト、インド、ノルウェーフィンランドなど10数カ国の水産業の状況など、詳細な報告が記述されている。ちなみに、博覧会には、各都道府県の海産物から漁具など、様々なものが陳列されたようで、かかった費用は合計21132円だった。