勉強会@中央線RT2015〜夏を開催

年度明けのドタバタもそろそろ落ち着いてきたというところで、久しぶりに開催しました。今年度は4回くらいできればいいな…と思っています。

水谷さんとはここ数年来面識があり、facebookでつながっているのですが、ひところ海外の様々な図書館を訪ね歩くというとても羨ましい写真が連投されていました。海外渡航に飢えている身としてはお話を伺わずにはおれない!ということで、(雑な)オファーを出したところ、ご自身が中心になって運営されている「海外日本美術資料専門家(司書)の招へい・研修・交流事業」についてお話いただくことになりました。

(42) 2015/6/11 高円寺HACO 水谷長志(国立近代美術館)「JAL*から見る日本の図書館、JAL**から見る海外の図書館:-(ハイフン)は難しい」
* Japanese-art librarian  ** Japanese art librarian

JICAからの支援を受けて行われているこの事業、ざっくりに言えば「国外で日本美術資料を専門に扱う図書館員など(Japanese-art librarian:JAL。研究者、キュレーターも含む)を公募・選考して、およそ2週間、日本へ招へいし、研修交流事業を行い、最後に提言をしてもらう」というものです。最後の提言が「日本語」ということで、どうしても日本人の応募が多くなっているようですが、中韓の戦略的かつ潤沢な資金に裏付けられたな投資により駆逐されつつある「日本美術」の橋頭堡たる方々を招くことで、人的ネットワークを強化すると共に、わが国の(美術)情報資源の構築・発信の在り方について客観的な視点から提言をもらう…というのは、とても有意義なものだと思います。
とは言え、残念ながら、わが国のこういった分野への投資は折からの財政状況もあって、中韓と比べても十分とは言えないのが実情のようです。また、アニメ/マンガといったサブカル系のコンテンツへの対応というのも、これからの課題とのこと。この辺りは、数年前に出た江上敏哲さんの本で書かれていたことに通じるものでしょう。この現状を知るにつけ、暗澹たる気持ちになるのが正直なところですが、まずは身の回りでできるところから実践を積み上げていくしかありません。その意味で、水谷さんの取り組みには敬服するばかりです。

本棚の中のニッポン―海外の日本図書館と日本研究

本棚の中のニッポン―海外の日本図書館と日本研究

水谷さんのお話が一通り終わった後は、フリートークの時間。わが国の文化政策中韓のそれとの比較や、メタデータ等のネタで大いに盛り上がりました(個人的には、水谷さんの「図書館のやっているのは<分類>ではなく<集類>である、というコメントが一番のツボでした)。
さて、運営サイドから今回の会を振り返ると、場が大いに盛り上がったの背景の一つには、「参加人数の少なさ」があったと思います。以前書いたように、店側との間で合計10人以上で開催という了解事項があり、これまでの大半の回では11,12名の参加がありましたが、今回は合計で7名でした(ネタとしては申し分なかったはずなので、僕の宣伝や他のイベントとのバッティングが、参加者を減らした理由でしょう)。ただ、少ないからこそ密なコミュニケーション可能になり、それが盛り上がりに繋がったんだろうと思うのです。もっとも、店側にしてみればいい迷惑だろうと思いますが。
最後に、お忙しいところスピーカをお引き受け頂いた水谷さんと、参加頂いた少数精鋭の皆さん、どうもありがとうございました。