ワークショップのつくり方、広め方
3月22日、川口メディアセブンで開催されたトークイベント『ワークショップのつくり方、広め方 ワークショップって何だろう?』に参加してきました。
川口メディアセブンは2007年に川口駅前に、新たな地域の学びの場としてオープンした公共文化施設(運営:NPO Community Design Council)。色々やっているようだが、その中に年間5つほどのワークショップを公募・実施する"ワークショップアカデミー"というプログラムがある。今回は、「そもそもワークショップとは何ぞや」ということを考えてみるというスピンオフ企画らしい。僕も仕事で「ワークショップ」という言葉を使ったことがあるし、こういう「場」のマネジメントに興味があったので、参加してみた。
パネリストは以下の皆さん。
- 【第一部】つくり方
諏訪晴美(プランツデザイナー)、野村沙織・永井俊平(眞田塾塾生)、会田大也(山口情報芸術センター)、高尾美沙子(NPO法人 学習環境デザイン工房)、氏原茂将(メディアセブン)
- 【第二部】広め方
会田大也(山口情報芸術センター)、苅宿俊文(青山学院大学教授)、桂英史(東京藝術大学准教授)、山内祐平(東京大学准教授)、高山明(Port B)、高野美和子(ダンサー)、氏原茂将(メディアセブン)
前半は、実際にワークショップアカデミーでワークショップを行った方からの報告。どれも興味深かったが、ディスカッションの時間が少なかったのが残念。ワークショップと言えば子ども向けというのが多いが、大人向けのも実際あるわけで、その2つへのアプローチの違いに興味があったのだが、ちょうど会場から質問があって、「アプローチに違いがあっても、ワークショップそのものの狙いや目的は同じだし、そもそも両方に耐えうるものでないといけない」と答えていたけど、納得。
後半は、実際に各地でワークショップに取り組む高野さん(ダンス)・高山さん(演劇)に、専門職としてのワークショップデザイナーの資格制度設立に携わる苅宿さん、川口メディアセブンの設立・運営に関わる桂さん、山口でメディアセブンと同じような機関に籍をおく会田さんといった面々に加え、司会の山内さん。それぞれの立場から色々と示唆に富むコメントがありました(会場にはワークショップを生業としている方も!)。
ワークショップとは何か?「参加型体験学習」と言われることも多いのですが、ここではもっと踏み込んで学校教育とはオルタナティブな存在としての「地域の教育の場」ということでした。効率的な学習を教える場ではなく、ワークショップを通じて個人の内面的な「気づき」を導き出すというある意味「非効率な教育の場」、それがワークショップであり、それをマネジメントするプロ(として想定されている)がワークショップデザイナー。
そして、その際の舞台装置として設定されるのが「地域」(ワークショップは、「地縁的な学習コミュニティ」とも呼べる)。こういったワークショップを展開しているところは、この川口メディアセブンのほか、せんだいメディアテーク、山口情報芸術センターなどまだまだ多くはない。今後はこれらの施設がハブ的な存在になっていくのだろう。
うーん、何だか熱いぞ、ワークショップ。というか、これまで安易に「ワークショップ」という言葉を濫用しすぎてきたかもしれない。
さて、ここまで書いてきて「なんだ、これなら図書館でもいいじゃないか」と思う方も多いかと。学校支援という直接的な学校教育へのコミットもいいが、こういったオルタナティブな「場」のコーディネイトに図書館がもっと関わってもいいのかもしれません。もっと言えば、図書館や公民館といった既存の公共の文化施設を脱構築していく際に、ワークショップという極めて何でもあり的な手法が非常に効果的ということかもしれませんね(世間では常識なのかもしれませんが)。
くしくも、先日の「新しい時代の図書館研究会第2回研究交流会」で、「図書館のアジール化」というキーワードが提示されていたけど、それに繋がるものもあるようなないような・・・。