Tokyo's Tokyo

 羽田空港を発着する旅人のためのエディトリアル・ショップです。 羽田から出掛ける人が必要な旅の道具。 羽田から帰る人が必要な東京のお土産。 そして、それらを彩る本たちが厳選されて並びます。 その全ては、東京を編集するという視点によって 選ばれた東京の上澄みといってもいいでしょう。
Tokyo's Tokyo 2009.2.20 FRI OPEN(BACH)

 羽田空港第二ターミナル四階、エレベーター脇の一角にある"Tokyo's Tokyo"。これまでの空港ショップとは一線を画した、「旅人のためのセレクト・ショップ」。東京に降り立った人、東京から飛び立つ人に、本、文具、雑貨、衣料など選りすぐりの旅の友を提供している。2月20日にオープンした。
 壁面には日本の地方ごとに棚が仕切られ、日本の地方ごとに関連するおススメの本(古本含む)や雑貨がポップ付きで並べられている。フロアには「山」「宇宙」「ホテル」「出張」などのテーマ別のテーブルが置かれ、そこにもやはり関連する本や雑貨がディスプレイされている。
 例えば、中部地方の棚には、オススメのベスト3として『乙女の金沢―カフェ、雑貨、和菓子、散歩道…かわいい金沢案内』(乙女の金沢制作委員会, マーブルトロン, 2006)、『裸の大将東海道五十三次』(山下清, 小学館, 2000)、『合衆国再生―大いなる希望を抱いて』(バラク・オバマ, ダイヤモンド社, 2007)が並べられている横に、何気なく写真集『佐渡』(岩宮武二, 朝日ソノラマ, 1977)が置かれている。また、「山」のコーナーでは、写真集『Mt. Fuji』(石川直樹, リトルモア, 2008)の横に『森の生活』(H.D.ソロー, 小学館, 2004)が置かれていたりする。
  本のセレクションの担当は、幅允孝さん。さすがの仕事ぶりだ。思わぬ組み合わせで提示される本は、僕たちの旅の気分を否が応にも刺激する。「セレクションの妙」といったところか。
 このblogでも旅人に「情報」を提供する装置としての図書館の可能性について何度か取り上げているのだが、「セレクション」という価値の付加がそれを考えるときのポイントの一つになるということを、Tokyo's Tokyoは教えてくれているのかもしれない(立地・空間も、なのだか)。とは言え、これはあくまでも商売。季節などに応じて商品も入れ替えられていくらしいが、今後の展開も要注目だろう。ちなみに、この店の隣は丸善の本屋だ。

参考;

関連エントリー

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  2. 南益行の「観光図書館論(2009/1/27)
  3. 旅人のための図書館を夢想する(2008/12/27)
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