新しい時代の図書館研究会第2回研究交流会

新しい時代の図書館研究会第2回研究交流会「図書館の「使い方」を考える。」多摩美術大学図書館
 2月28日、参加してきました。主催は、神戸芸術工科大学のプロジェクト・新図書館ラボ

本学(神戸芸術工科大学)におきましても、図書館を核とした新しい教育研究活動と情報発信のあり方について研究するべく、おくればせながら2008年4月に「新図書館構想ワーキング」を立ち上げ、先進的な活動を行う諸機関へ見学やヒアリングなどをお願いし、その研究を進めてきております。まだ、調査を始めたばかりですが、先進的な諸機関の実験的取り組みや特色ある活動を知るにつけ、目指す方向は同じであってもさまざまな試行と多彩な展開があることを強く感じ、このような取り組みについての自由で活発な意見交換や情報交換の場が持たれれば有意義ではないかと考えるに至りました。な取り組みについての自由で活発な意見交換や情報交換の場が持たれれば有意義ではないかと考えるに至りました。

という考え方がいいですね。単にヒアリングしたり研究したりするだけでなく、交流する<場>を提供して、そこからより多くのものを得ようとする姿勢。
 今回は、2年前にできた、先駆的なデザインが話題になっている(1)多摩美大図書館見学会⇒(2)ディスカッション⇒(3)懇親会の3部構成。会場になったのは、一階のオープンスペース。モニターを中心に自由に持ち運べるイスを持ち寄って集まる様は、まるで青空教室。こういうイベントには最適なあり方かもしれません。
 (1)の見学は、実際に設計に関わった中山英之さん・庵原義隆さんの解説つきという贅沢さ。どうしても外見や内装の大胆さに目を奪われがちですが、細部にまで及ぶ作り手の意図や思い入れと、図書館員や関係者の方々との打ち合わせを重ねて作り上げていく過程を、丁寧にかつ分かりやすく語ってもらえました。建築家というのは、「言葉を武器にする人種」でもあるんだなと実感*1
 (2)のディスカッションは、「情報環境が激動しているこの時代に(特にフィジカルな)図書館の持つ意味は?」という根本的な問題に、図書館屋・Web屋・研究者・建築家・デザイナー・役人・キュレイターなど様々なバックグランドを持つ人々が意見を出し合うおもしろい展開に。もうちょっと時間が取れればもっと楽しかったんですが、それは望蜀かな。僕自身は「コンテンツさえ扱えれば媒体なんか何でもいい(暴論?)」と思っている人間なのですが、この場では、「図書館は人間同士のトランザクションを生み出す<場>として機能すべき」という意見が大勢を占めていたように思います。
 で、(3)の懇親会は、ここら辺の食べ足りなかったところを、色々と食べ散らかすお楽しみタイム。普段はあんまりフィジカルな<場>としての図書館について考えることが少ないのですが、大学図書館でのラーニングコモンズへの取り組みの話なども聞くにつけ、ちょっとずつでも考えていかないとな、と反省。まだまだ明確なイメージや答えはないのですが…
 ともあれ、非常に刺激的な週末の午後でした。この会の<空気><場><流れ>などは、こういったイベントの一つのモデルを見た気がしました。鈴木明さん以下、関係者の皆さんに改めて感謝します。

つくる図書館をつくる―伊東豊雄と多摩美術大学の実験

つくる図書館をつくる―伊東豊雄と多摩美術大学の実験

*1:数多くの関係者を束ねてモノを作るわけなので、プロジェクトマネージャーという見方もできるかも。