旅行記:ダラムサラ編

旅の終わりに

デリーに戻った私は、半ば投げやりに空港のカウンターで近くのホテルを予約し、快適に空調が施された部屋で真白なシーツにくるまり、そして泥のように眠った。今回の旅は、終わった。 それにしても、と思う。 チベットの旅は、辛いことばかりだ。高山病、寒…

チャンディーガルでル・コルビュジエを堪能する。

今回の旅は、成田〜デリーの国際線の往復と、デリー〜チャンディーガルの国内線の往復のチケットを予約していた。そもそも、デリーからダラムサラまでは夜行バスもあるのだが、今回は時間を金で買うというスタンスで、デリーからアムリトサルかチャンディー…

マナリへ(3)

陽が傾くと、一気に気温が下がってきた。 この日の宿は、温泉の裏手にある小汚いゲストハウス。汚いマットレスと虫満載っぽいブランケットがあるだけで、おまけに部屋の大きさのわりにはいやにでかい窓からはしっかり隙間風が入ってくる。夏に泊まるのであれ…

マナリへ(2)

翌朝、早々にホテルをチェックアウトして、歩いてバシスト村に向かった。 川に沿って少し歩いていくと、右の山肌に金色の屋根が素晴らしくチープなゴンパがあり、その続きにちょっとした集落が見えた。「あれはバシスト村?」と暇そうに車の検問をしていたお…

マナリへ(1)

ダラムサラで数日を過ごした僕には、残りの旅をどうするかという意味において、幾つか選択肢があった。 ようやく馴染んできたこの小さな街でもうしばらくのんびりするか、ル・ココルビジェの待つチャンディガールに戻るか、あるいはいっそのことデリーまで戻…

トリウンドにて

その日は、いつもより念入りに靴ひもを結び、少し早めにホテルを出た。 猿が我が物顔で闊歩する街の北側の坂を通り抜け、ダラムコット村の脇を通り過ぎ、うねる山道を登っていった。途中、四叉路があったので、左に進んだが、途中で道がなくなった。右の道を…

旅土産

所帯持ちのサラリーマン・バックパッカーの方ならご理解頂けるのではないだろうか。一人旅において、「土産」というものがいかに大切であるかということを。 しばらく仕事と家庭を放棄して、何の役にも立たない旅行なぞにウツツを抜かす自分への矛先を少しで…

名前を考える旅

家庭を持つ旅好きなら分かってもらえるだろうか。単なる道楽で旅に出るとなると、それなりの名目が必要だということを。そして、それが一人旅だとさらにハードルが上がるし、そしておまけに相方が妊娠中だったりすると、そのハードルはそこら辺の山より高い…

リタンのマニ石

ダラムサラでは一つ、どうしてもやっておきたいことがあった。 話は、2007年10月にカムを旅したときに遡る。成都からバスを乗り継いで辿り着いた理塘(リタン)。馬の代わりにバイクを乗り回したいかついカムパが闊歩する、大草原の中の小さな街だ。 街の北…

ダラムサラからの手紙

ヒマラヤ杉にタルチョがはためくこの街では、ホテルの部屋の前のベランダのベンチに腰かけて、ビールを飲みながら時間をつぶすのが日課になっています。昼はぽかぽかして気持ち良いし、夜は山肌に散らばったまばらな夜景が美しい。 このダラムサラという街は…

坂の多い街にて

俺の名前はシン。22歳だよ。近くのダラムコットの生まれさ。高校を出てすぐこのホテルに来たから、もう3年になるな。オーナー一家も住んでるけど、実際に取り仕切ってるのは俺だよ。この辺じゃまだ新しい方だからいろいろやんなきゃいけないのに、全部俺にや…

旅の終着地へ

初めてチベットに足を踏み入れたのは、2001年の秋。本来であればユーラシアを西進するはずだった旅が南下を余儀なくされた結果としての、言わば「偶然」の旅だった。けれども、そこで出逢った蒼い空と色鮮やかなタルチョと、そしてその下で一心に祈りを捧げ…

チベット文献図書館を訪問

仕事柄、旅行先で「Library」という言葉を目にすると、どうにも気になって仕方ない。僕の同僚にもそういうヒトは多いから、これも一種の職業病の一つかもしれない。 今回のダラムサラ訪問でも、ガイドブックに「チベット文献図書館」という言葉を見つけた途…

ダラムサラ一人旅2009_旅地図

より大きな地図で ダラムサラ一人旅2009 を表示

12月20日デリー→シンガポール

朝4時半、無事に起きれた。今回も目覚まし時計なしで乗り切れた。一安心。 空港までタクシー。すぐチェックインして、みやげ物を物色。ここまで来ると完全に浪費モード。空港内でルピーを換金できないことが判明。 無事にシンガポール着。フリーのネットをチ…

12月19日チャンディガール→デリー

予定より早い5:30にチャンディガールに到着。17セクターのバススタンド近くだということは分かったが、あたりは完全に闇。リキシャワラーを振り切ってずんずん歩く。 ホテルの看板を見つけたので、上へ。係員が寝てるのを良いことに、階段を勝手に占拠して本…

12月18日マナリ

この日も朝から天気がいい。これまでの一週間近く小雨模様だったというが、これはラッキー。 とはいえ、冷え込んでいるので、散歩に出て身体を動かす。再び、滝へ。途中の眼下の川原には出稼ぎネパーリのバラックが。出稼ぎネパーリ&チベタン難民&現住ロー…

12月17日マナリ

朝起きて、ある程度明るく・暖かくなるのを待ってチェックアウト。バシストまで歩いていく。途中、チベタン難民集落などを通り抜けて、1時間もせずにバシスト村に到着。 予めチェックしておいたネギ・ゲストハウスは冬季休業中ということで、その友達が経営…

12月16日ダラムサラ→マナリ

朝から最後のダライラマ公邸周りコルラ。リタンで拾ったマニ石の欠片(ずっとダウンのポケットに入れっぱなしにしていた)を、マニ石塚に置いてきた。この街は、朝日もすばらしい。 8時にタクシー出発。運転手は生まれも育ちもダラムサラの28歳。車は普通の…

12月15日ダラムサラ

今日も朝から散歩がてらにダライラマ法王公邸の周りをコルラ。今日はいつもより人が多くておめかししている人が目立つ・・・。 おめかしした人は公邸の門で集合。名前が呼ばれた順番に係員にチケットを見せて、列を作っていく。どうやらダライラマの説法に申…

12月14日ダラムサラ

朝起きたら天気が良かったので、予定通りトリウンドまでの一人トレッキングに行くことに出発。 旅行人・歩き方ともにまともな地図がなかったが、何とかなるだろうと思ってたが、完全に裏目。進んでいった道が次第に異様に険しくなり、ついにはなくなった。要…

12月13日ダラムサラ

朝からダライラマ法王邸宅周囲をコルラ。チベタンも結構来ているが、若い人はジョギングっぽいノリでやっているし、宗教もさることながら健康面の動機もあるような気が。僕が皇居一周ジョギングをするようなものか。〆はチャイ。 午前中は軽く街中を散歩して…

12月12日デリー→ダラムサラ

前日の夜にシンガポールからデリーに到着。二度目なので要領も分かっているということで、さくさくと国内線のターミナルへ。そしたら何と、リニューアルされていてキレイ。心置きなくベンチで一晩を明かす。 隣に座っていたカルカッタ出身の大学生と少し話す…

「ダラムサラ一人旅」持って行った本

蘇東坡詩選 (岩波文庫 赤 7-1)作者: 蘇東坡,小川環樹,山本和義出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1975/01/16メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (3件) を見る剣闘士スパルタクス (中公文庫)作者: 佐藤賢一出版社/メーカー: 中央公論新社発売…